かもしれない作文

 これを読んでいるのはどんな人だろう、と僕は時々想像する。



 もしかしたら、日本語の勉強のために適当なサイトを覗いていて、たまたまここを見つけた外国の人かもしれない。


 もしかしたら、電子機器に入り込んで、自分の生前の痕跡を探す、記憶喪失の少女の幽霊かもしれない。


 もしかしたら、数十年後の未来、僕が死んだ時に「おじいちゃん、またこんなゴミみたいなお話書いて……」と遺品整理をしている孫かもしれない。


 もしかしたら、深淵の宇宙から飛来した、次元を超越した生命体的な何かが、地球の文化を学ぶために、何を間違ったか、こんなものを読んでいるかもしれない。

 


 小学生の頃、「文章を書くときは、読み手を意識して書くべきだ」と言われた。

 けど、外国人にも、幽霊にも、未来の子孫にも、宇宙人にも面白い話は、僕には絶対に書けない。

 

 だから僕は、いっそ自分勝手に文章を書くことに決めたのだ。

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