ゆたんぼ
ゆゆゆゆゆ
ゆ ゆ ゆ
ゆゆゆゆゆ ←これを買ってきて
ゆ ゆ ゆ
ゆゆゆゆゆ
なぞなぞ好きな妻からのメールだった。
ははあ、なるほど。「ゆ」の田んぼってことは、湯たんぽだな! 右上に○がないから、このままだと「ゆたんぼ」だけど、書き忘れたんだろう。
仕事から帰った私が湯たんぽを差し出すと、妻は笑顔を返した。
「あら、わからなかったのね、私のなぞなぞ」
「え、湯たんぽじゃないの? 右上に丸を書き忘れてただろ?」
「何言ってるの、あれで合ってるわよ。買ってきて欲しかったのは『ゆたんぼ』」
妻はなにか、ドロドロとした物質を差し出した。それは赤黒く脈動していて、フジツボのようなものが表面についている。針金で括られた紙には『蝓痰毋』とあった。そのタグも、ドロドロに侵食されて黒く変色している。
「今日の夕飯よ」
妻はそう言って、蝓痰毋に囓りついた。
私は、滴った粘液を呆然と見つめた。
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