街雨
時々、街が降ってくることがある。
ビルや車や人が、空から雨のように降ってくる。それは次元を隔て、崩壊した世界のもので、この世界にはないものだ。
今も、私の目の前で街が降ってきている。雲を引き裂いて、巨大なビルが捻じ切れたように落ちてくる。根元は向こうの世界に置いてきたのだろう。鉄骨や割れたガラスの破片も米粒みたいな大きさで、一緒に降ってくる。
ビルは海に衝突すると、大きな水しぶきをあげた。轟音は数秒遅れて届いた。海全体が揺れているようだ。潮の匂いが強くなって、私は慌てて海岸から離れようとしたけれど、間に合わなかった。
私は海に呑まれた。
気づけば、空にいた。
遥か下に街があった。
空の色は青ではなくて、白かった。海は赤色だった。
そこは、隣の世界だった。
どうやら、私の世界も崩壊したらしかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます