晴れた日の傘
この晴れた日に、傘を持って歩いている女子高生がいる。傘の持ち手には、彼女の名前がはっきりと書かれている。
道行く人は首を傾げる。今日は一日快晴の予報だった。一体何のために、あの子は傘を持っているのだろうか?
夕方、その女子生徒は傘を昇降口に置いたまま帰っていった。
数日後に雨が降った。予報にない、突然の雨だった。下校時刻の生徒たちは、途方に暮れたように空を見上げた。
そんななか、傘置きを物色する男子生徒。彼は1本の傘を取り上げる。
それは持ち主の名前がはっきりと書かれた、晴れた日の傘だった。
彼は人知れず、ニヤリと笑って傘を頭上に広げた。
瞬間、傘の内側からチョークの粉が降り注いだ。
真っ白になった男子生徒の眼前。
傘の骨組みから垂れ下がっていたのは、『泥棒!』と書かれた紙だった。
それから、その高校で頻発していた傘の盗難は激減したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます