縋れない数値

湿度70パーセントの室内では

半端に晒した肩も抱けない

ぼくは窓を打つ低気圧から

守れるクスリよりも無価値


果汁0パーセントのオレンジが

簡単に騙した小さな舌も

ぼくは触れない心すらも

奪えるフェイクが嘲笑う


肌を重ね合うだけのときにまで

休憩を宿泊に変えられない


希望だって勇気だってきみだって

グラスから直ぐこぼれてくんだ

要らんなって食いしばって強がって

背伸びしたジャケットを殺した


飽和度93パーセントの酸素では

届かない足りない声も出せない

ぼくのキモチの密度でも

ルージュはくすりとさえ笑まず


約17パーセントのダイスに

秘密で寄せた小さな祈りも

ぼくの磨り減る心ともども

散々に裏切られ苦笑い


プラトニックぶってみせていたって

眼差しを絡めてもまたほどける


素顔だって吐息だって影だって

溜息と共に溶けてゆくんだ

欲したって求めたってダメだってさ

真正直の回路を閉ざした


希望だって勇気だってきみだって

グラスから直ぐこぼれてくんだ

要らんなって食いしばって強がって

背伸びしたジャケットを殺した

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