聖櫃の魔女

モカコ ナイト

この世界の縮図

『エターナルハインド』そう、名付けられた世界。

 そこには昔、神々が居た。

 この世界の産みの親、創成の神々。


 彼らは年若く、神として成り立ったばかりの新米だった。

 上役にあたる神から、習題として出されたのが新しい構造を用いた新世界の創成だった。


 彼らは試行錯誤の結果、自律調整型の世界を産み出した。


 地上に命が芽吹き始めた頃、創成の神々は、この世界を去った。

『戦』に駆り出されたのだ。


 この世界の完成を見ることなく、世界の仕組みは動き出した。


 創成の神々は、二つの装置を残した。

 一つは、この世界独自の『神』を産み出す装置。

 もう一つは、この世界を安定的に調整するための装置。


 一つ目の装置には、勿論不備があった。

 創成の神々の遺伝子や力を組み込みはしたものの、早々上手く『神』として確立出来るわけでもなく、やむ無くこの世界の『管理者』としての使命を与えた。


 一人目に産まれ来るものには、この世界の『保全』をその後に続く者にも、それぞれ役割を割り振っていった。


 最後に産まれ来るものは、この世界の『調整』を担わせるため、その魂も肉体も他のものより、より強固に頑強に産み出さねば為らなかった。


 それ故、他のものより遥かに遅くこの世界に誕生することになる。



 この世界その物も神々の習代だった為、不備は多かった。


 それらを解決するのが『調整』の役割だった。

 世界の不備を修繕・解消し、最初の一体目の『保全』役に明け渡す。


『調整』役が全ての業を請け負うため、肉体の消失も予測された。

 それ故、最初の一体の『保全』と最後の一体の『調整』には、より強固にこの世界その物と結び付くように紐付けられていた。


 死して尚、この世界に産まれ直す様に……

 魂の消失まで延々とこの世界のみに縛られ続けている。それが『保全』と『調整』の役割を割り振られた者達だった。



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