男であることを隠して女学園に入学するラブコメ in 異世界

あざね

僕と姉さん。








「姉さま! 僕、大きくなったら姉さまと結婚する!」

「ほんとぉ? それじゃ、楽しみにしてるからね!」


 僕には大好きな姉がいる。

 生まれながらに病弱で、滅多に会うことができなかったけど。

 将来はずっと一緒にいて守ってあげたい。心の底から、そう思っていた。


「フィオはやさしいね?」

「えへへ、姉さまの方がやさしいもん!」


 だから、幼いながらに出たのがその言葉。

 結婚という幼稚な選択だった。でも彼女は喜んでくれたし、それが嬉しかった。

 勢いそのままに抱きついて、柔らかいその身体に顔を埋める。すると姉は本当に優しく、僕の頭を撫でてくれるのだ。

 とても温かい時間。

 心がふわふわする、そんな時間だった。


「大好きだよ、フィオ……」


 僕を抱きしめ、姉さんはそう口にする。



「世界中。他の誰よりも……」



 遠い日の記憶。

 もしかしたらこの日に、僕は決意していたのかもしれない。



 この先に起きること。

 いかなることがあっても、僕はこの人の隣にいよう、と。



 

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