4-1

星人ほしと。星人や」


「おばあちゃん、なぁに?」


「星人。お前が好きなすいかを切ったよ」


「わぁい、すいかだぁ」


「はしゃぎすぎだよ、星人。もう小学生になったんだよ、少しは落ち着いて…」


「いただきまぁす!」


「そんなにかぶりつかないの、もう――。まぁ、元気なことはいいことだからねぇ」


「はい、おばあちゃん、おかわり!」


「元気だねぇ。ほら、はい」


「うえぇ、なぁにこれ――」


「何ってすいかだよ。あなたの好きなすいかの二個目だよ」


「でも――」


「形のことかい――」


「うん。かわもきたないし、へんにごつごつしてて、まるくない。きずもある――」


「でも食べるところは問題ないよ」


「そうだけど――」


「じゃあ私が食べてしまうよ――」


「えっ、だめっ。えいっ。もぐもぐ――おいしい!」


「ほらね、言ったとおりだろう」


「うん」


「星人、覚えておくんだよ。これは大事なことだからね。大人になっても忘れちゃいけないことだよ」


「なぁに」


「食べ物も、物も、動物も、見た目で判断しちゃあいけないんだよ。どれだけ見た目が悪くても、中身が大事。触りたくないようなものがとてつもなく美味しかったり、あんまり強くなさそうな動物が力持ちだったりするからね。見た目じゃなくて中身をちゃんと知らなくちゃいけないよ。これはね、人にも言えることだよ――」


「人も、すいかみたいに切ってなかみを見なくちゃいけないってこと?」


「違うよ。人なんか切っちゃだめだよ。中身はその中身じゃなくて――。心の――まぁいいよ。また今度話してあげる。まだお前には早かったかも知れないね」


「じゃあおはなしのかわりに、もう一個、おばあちゃん」

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