恒久のコアセルベート

ミスターN

第0話 プロローグ

 ふと考えたことがある。

 今この瞬間にも死にゆく人が存在するということを。

 死者は絶え間なく存在していて。

 時折息継ぎをするように、僕らの小さい現実の中に現れる。

 気怠い朝。

 僕はいつの間にかぼんやりとニュースを眺めていた。


『転落事故により2名が死亡』


 そんな文字が瞳の上を流れる。

 きっと、1ヶ月前もあった話だろう。でも、僕らはもう覚えていない。

 次は自分の番かもしれないほどに死は身近なのに。

 その瞬間が訪れるまで僕らは気付けない。

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