第28話

「成功したわ!

 私たちの勝ちよ、アンゲリカ!」


「そうですね、オードリー。

 まずは肩慣らしにここの主を斃しましょう。

 その足で復讐です」


「え?

 あ!

 そうね、行き掛けの駄賃よね」


 アンゲリカと私は速攻でダンジョン主を斃し、そのまま王城に向かいました。

 今の私たちにできないことなどありません。

 レンブラン国王とグレイスを殺しました。

 何も言わさず、何も言わず、速攻で殺しました。

 恨み辛みの応酬で時間を浪費するような素人ではありません。

 

 まあ、ただ、殺し方には恨みがこもってしまいました。

 二人をバラバラに切り刻んでしまったのです。

 適当に関節を選んでバラバラにしました。

 足首や手首、膝や肘といった場所に刃を入れて斬り離したのです。


 その後直ぐに王城から逃げました。

 お金にならない殺しは二人だけで十分です。

 いえ、金を積まれても人殺しをする心算はありません。

 アンゲリカと私は冒険者であって、刺客ではないのです。


 アンゲリカと私はジルべリア王国とは反対の国に移動しました。

 ジルべリア王国に残した団員たちが少し心配でしたが、殺されることはないとアンゲリカが言うので、それを信じる事にしました。

 アンゲリカの考えでは、彼らは私たちに対する人質にできるので、簡単には殺さないだろうとのことです。

 私もその可能性が高いと思いました。


 さらにアンゲリカは、あの王太子なら、十分稼げる冒険者を無駄に殺したりはしないと言うのです。

 私も少し考えて、そうだろうと結論しました。

 彼はよくも悪くも王太子なのです。

 国の利益になる事が最優先なのです。

 団員たちを殺すより利用するでしょう。


「それよりも新たな拠点を探すよ。

 それも一か所じゃダメだ、少なくとも五つは欲しい。

 私たちには安全に転移ができて、敵の侵入を感知防衛できる場所が必要だ」


 アンゲリカの言う通りです。

 私たちの願いをかなえるためには、ジルべリア王族専用ダンジョンに繰り返し挑戦する必要があるのです!

 ジルべリア王族のスキをついて、時には戦い殺しあうことになろうとも、最低二回はダンジョン主を斃して試す必要があります。


 アンゲリカと私に男性になる才能があるのか? 

 できればアンゲリカに男性になってもらいたいですが、不可能なら次善の策で私が男性になる事も考えています。

 

 二度挑戦してダメならば、噂に聞く、性別を変えられるというダンジョンに挑戦します。

 そこで挑戦してダメでも、性別を変えられる才能だけは得られるかもしれません。

 その後でジルべリア王族専用ダンジョンの主を斃せば、性別を変えられるかもしれません。

 私が聖女の才能があるのに使えなかった時のようにです。


「さあ、行こうか、オードリー」


「はい、アンゲリカ」

 

 

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