第9話
昨日は少々飲み過ぎてしまいましたが、何とか朝までに酒精を抜くことができました。
「馬鹿者!
自分の酒量も理解できなくて冒険者が務まるか!
そんな事では仲間を巻き込んでパーティーが全滅してしまうぞ!
パーティーメンバーも厳しく監視しろ。
それができなければ、どのような条件でも狩りを中止しろ。
勢いや欲に任せて狩りをすれば、必ず死ぬことになる!
分かったか!」
「「「「「はい!」」」」」
よかった!
これで酒精が残っていたら、アンゲリカに大目玉を喰らっていました。
だが大丈夫なのでしょうか?
私のパーティーメンバーの中に、酒精の残っている者がいるのではないかな?
いや、これがアンゲリカの言った本性の見極めなのでしょう。
どれほどの美男子であろうと、酒に飲まれて狩りに支障をきたすような男は、信頼信用に値しないと言いたいのでしょう。
クリスティアンが酒に飲まれていなければいいのですが……
「装備に手抜かりはないか?
忘れ物はないか?
鎧にゆるんだところはないか?
自分一人の事ではないのだぞ!
己の気のゆるみが、かけがえのない戦友を殺すことになるのだぞ!
我らを率いてくださる団長を、死なせる事になるかもしれんのだぞ!
仲間の気のゆるみを見つけたら、容赦せず指摘しろ!」
アンゲリカが叱咤激励してくれています。
チラリとこちらに視線を投げてきましたが、満足げな表情です。
確かに誰一人欠けていません。
あれほど騒いで羽目を外して飲んでいたように見えましたが、翌日の狩りには影響が出ないように、抑えるべきところは抑えていたのでしょう。
今日は昨日と装備を変えています。
闘蜂がいるのが分かったので、盾は大きくても軽い革製の大盾にしてあります。
剣も長くて細身で比較的軽いモノに変えています。
立体起動する闘蜂を的確にとらえ、狩るための装備です。
ダンジョンをどれだけ深く入るかとか、珍しく強い敵を斃したくて狩りをしているのではありませんからね。
楽にたくさん稼げればそれが一番です。
重量級の魔獣と遭遇すると厳しいですが、その時は魔法と予備の剣で戦えばいいことです。
そうそうに撤退すればいいことです。
ギリギリ勝てるか勝てないかの魔獣と戦って斃しても、獲物に多くの傷をつけてしまうので、商品価値が激減してしまいます。
そういう判断ができるどうかも、見極めないといけませんね。
私が立ち上げる分家は、魔境やダンジョンの狩りで収入を確保しなければいけないのですから、陪臣家当主としての政治力と、冒険者としての能力が必要ですからね。
クリスティアンにその能力があればいいのですが。
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