第5話
「今日から男女混成のパーティーを組む。
だが名誉のためには守らなければいけないルールがある。
それを体に叩き込むからそのつもりでいろ!
特に貴族家出身の男ども!
無礼があればその場で問答無用で斬り殺す。
その覚悟で参加しろ!」
アンゲリカが私が選んだ男たちをねめつけています。
王太子との婚約が解消されたお陰で、ようやく王家がつけた足手まといの戦闘侍女を追い返し、五回の前世で評判だった冒険者を、私のパーティーに加えることができるようになったのです。
いえ、今ではパーティーと呼ぶには数が多すぎます。
クランや団と呼ぶべき人数です。
私的には五回の前世で評判だった冒険者だけを加えたかったのですが、父や家臣の懇願でそうはいきませんでした。
最初に加えたのは家臣団の部屋住み子弟です。
家を潰すわけにはいきませんから、貴族家はもちろん陪臣の士族家も、跡取りと予備の子弟が必要です。
ですが予備の子弟は惨めな存在です。
陪臣は限られた狭い領地収入や少ない扶持で生活しなければいけないので、予備の子弟は結婚もできなければ子供を作ることも許されません。
特にみじめなのが、跡継ぎである兄に子供が生まれ、兄が死んで甥が後を継いだ状態の「厄介叔父」となった時です。
当然甥にも予備である部屋住みの弟を養う必要がでてきます。
ですが甥も弟や叔父よりも自分の子供に家を継がせたいのです。
予備も含めて二人以上の男子を欲します。
当然家の家計は火の車となるのです。
ポルワース伯爵家の家臣団もそういう状態だったのです。
複数の部屋住みを抱えて苦しんでいたのです。
部屋住みの中には士族であることを諦めて、命懸けで冒険者となる者もいれば、開拓民や商人を選ぶものもいましたが、誰だって生まれ持った士族の地位を失うのは嫌なのです。
士族の地位に拘って、家に残りながら養子の口を探す者が多いのです。
そんな部屋住みでも、家人として実家に残っている間は士族であり続けられます。
実家に負担をかけず、冒険者として自活ができるのなら、子供を養親縁組してもらえる可能性があります。
いや、他家でも同じように苦しむ士族家は多いのです。
冒険者として収入が多ければ、婿養子に望まれる可能性もあるのです。
厄介叔父と成人した部屋住みが多い家臣家が、私の冒険者クランに参加させて欲しいと懇願してきました。
断る事はできませんでした。
次いで私が見込んだ貴族家部屋住をクランに加え、アンゲリカが選抜してくれた冒険者もクランに加わってくれました。
これは大変助かりました。
急激に男性が増えたので、アンゲリカが選抜してくれた女性冒険者の存在が大きかったのです。
もちろんそれは私の名誉を考えての事です。
クランで動くときはもちろん、少数精鋭のパーティーで動くときも、実力と性別のバランスがとれるようになったのです。
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