第86話 頑張れ、おとこのこ

「ともかくも……最後の災厄、ルシファーを探さなければ」


俺の言葉に、ハナが首を振る。


「いや、それは大丈夫。僕達、災厄同士、場所は分かるんだ。ルシファーが今何処にいるかは分かっている」


結局、禁忌・存在壊変で何が変わったの?


「ヒタカ。覚悟ができたら教えて欲しい。ルシファーのところに案内しよう」


RPGで良くあるよね、こういうの。

ここでセーブしておいて、勝てなかったらロードしてレベル上げ。


<称号『武器屋や防具屋に新しい装備が入っているかも知れません。覗いてみては如何ですか?』を獲得しました[1]>


武器屋も防具屋も見当たらないのですが。


<称号『最近はDIYが流行ってますからね』を獲得しました[1]>


今から武器作成を取れと……?


<称号『絶望的状況だからと言って、投げ出すなんて……らしくないですよ。やれる事は全部やるべきです。頑張れ、おとこのこ』を獲得しました[鍛冶神]>


おお、武具作製の才能だな?!

よし……武具作成を……


武具作成 壱萬特殊点数


……え、1万……?

ああ、そうか、複合スキルだからか?

剣とか単独なら。

あと、何で漢数字。


剣作成 拾萬特殊点数

盾作成 拾萬特殊点数


増えてるじゃん。


<称号『ポイントなんて、お話していれば貯まるものです』を獲得しました[-1]>


減ってるじゃん。


ともかく……レベル上げをする方向かな。


<称号『これはただの雑談ですが。とある世界では、魔王は、世界を滅ぼすのに7つの夜しか必要としなかったそうです』を獲得しました[1]>


おい、視界の右上に追加された、あと7日って何だよ。


……仕方がない。

最早、死中に活を求めるしか……


「おい、ハナ。ルシファーのところに案内してくれ」


……あ。


<称号『時間が止まっているようですね?今なら華田さん、エメラルド姫、マリア姫にいたずらできますよ?』を獲得しました[1]>


ルシファーとの戦いでも止めてくれよ。


<称号『ルシファーは♂ですが……いたずらしても楽しくないですよ』を獲得しました[1]>


--


ルシファーは、山の上の小屋にいた。

そこまで離れていなかったのは、恐らく、俺達を待っていたのだろう。


待っていたのは、長い銀髪の美しい女性……いや、青年。


「勇者よ。いきなり青年呼ばわりとは、如何なる理由か?」


?!


「アレが、私を男と言ったのは、虚言です。一目見て、性別は分かる筈ですが」


ルシファー?が溜め息をつく。

いや、待って、待って。


「……?あれがルシファー……?話が噛み合わないですね……?」


エメラルドが小首を傾げ。


「……ホダカ殿……もしかして……?」


マリア姫が息を呑む。

そう……恐らく……


「ルシファーは、人の心が読めるらしい。俺が考えていた内容に関してツッコミを入れてきた」


巫山戯るなよ。

戦術が全て読まれるって事じゃないか。


「ああ、エメラルド姫、大丈夫ですよ。貴方が勇者を好きな事は、黙っておいてあげます」


「言ってます?!」


ルシファーが突如、心の声を捏造。

エメラルドが抗議の声を上げる。


「マリア姫、貴方の気持ちも、黙っておいてあげます」


「今は考えて無いのじゃ?!」


「……ごめん、マリア姫……俺には心に決めた人が……」


「そしてまた振られたのじゃ?!」


ごめん、マリア姫。

俺は、エメラルドとハナが……


*******


投稿間隔が相当あいてしまい、すみませんでした。

あと少しですが、お付き合い頂けると幸いです。

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