第83話 とぷとぷとぷ
「ああ、大丈夫だよ、ヒタカ。他人を殺害したり、他人から物をとったり……そんなのはキミは望まないだろう?僕とラブラブに愛し合ってくれれば、それで満足するよ。そもそもあれは、横入りした泥棒猫達とキミを引き離す為に流した噂だしね」
「……まあ、非道に手を染めるよりは、ハナとデートしている方が良いな」
「うんうん」
華田が頷く。
こいつ、本当にドゥーアーなんだよな。
実は華田だったり……いや、それは無いか。
マーカーも反応しているし、エメラルドは死の宣告かけられているし。
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その次の日も、華田に連れ回され。
エメラルドとマリア姫もついてきて。
「ほら、エメラルド。手を貸すぞ」
「有り難う、ホダカ……」
「いや、エメラルド姫の方が体力あるよね。別に体力減衰も何もしていない筈なのに、何で弱々しい風を装っているのさ」
華田が半眼で突っ込む。
あれ、体力減衰してないの?
「これでも、精神的に大分参っているんですよ」
「そうかい?図太そうだけどね」
エメラルドの悲嘆に、華田が懐疑の声を出す。
残り時間は、24時間を切った。
24時間を切ったらどうなるんだろう?
「その顔は、死の宣告について知りたいって顔だね。良いよ、教えてあげる。死の宣告は、死の因果……その結果は、死ぬべくして死ぬ。心臓麻痺とか、植木鉢が落ちてくるとか……階段から落ちて死ぬ、とかね。カウントが0になったら突然、って訳でも無い。勿論、そのあと何時間も生きていられる訳でも無い……そんな感じだね」
死の運命、か。
華田が、ぷくっと頬を膨らませ、
「今くらい、僕だけを見てくれても良いんじゃ無いかな。何で、エメラルド姫ばかり気にするのさ!それだと、いつまで経っても終わらないよ?」
また訳の分からない事を言う。
何だってこんな事をするんだ。
だが、大分板に付いてきたのか……
「ハナ、なんか、俺の事が本当に好きで、嫉妬している様な感じだぞ」
「本当に僕は、ヒタカが好きなんだよ!ずっと!」
?!
華田の目に、涙が流れる。
「ずっと……ずっと……何度も……何度も……好きだって、言ったよね」
え。
だって……あれはいつもの冗談で……
え……?
その顔を見て、不意に理解した。
あれは、あれは、冗談じゃ無かったのだと。
今のこれも……
華田は、俺が好きなのだと。
「……本当……なんだな……」
華田を好きかどうか、と聞かれると。
無論、好きだ。
大切な親友で……
だが、愛しているかと聞かれたら……
いや、そうだ。
好きだと思う。
だから……
「うん……まさか、そっちを気付いて貰えるとは思ってなかったけど
……うん、合格。満足したよ」
華田が、嬉しそうに笑い……
いや、何で本人に代わって勝手にばらしちゃってるの?!
相思相愛っぽい雰囲気出しているけど、お前は華田本人じゃなく、華田をコピーした、ただの災厄だよね!!
何この茶番!
うわ……どうしよ。
華田は俺の事が好きで……俺も華田の事が好きで……
次に華田に会った時、どんな顔をして会えば……
……
…………え?
<称号『あ、待って下さい。五千年物のワインを開けるので』を獲得しました[1]>
……
<称号『コルク抜き……あったあった』を獲得しました[1]>
「……ホダカ殿……」
マリア姫が、沈痛な表情で呟く。
いつだ?
いつ、ドゥーアーは、華田をコピーした……?
「ヒタカ、ようやくそっちにも、気付いたんだね」
華田が、申し訳なさと、悲しさと、嬉しさが同居した様な……複雑な表情を浮かべる。
<称号『とぷとぷとぷ』を獲得しました[1]>
ドッペルゲンガーに会った者は、3日後に死ぬ。
ドッペルゲンガーは、化けた相手の記憶と能力をコピーする。
なら……
「うん……僕は死んでいるよ。キミがこの国に来る、4日前にね。……階段から落ちて事故死、だってさ」
華田……が……?
「う……うわあああああああああああああああ?!」
<称号『んんん……美味しい……!』を獲得しました[1]>
視界が暗転……涙が溢れ……身体が崩れ……
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