第43話 やん

「……大口叩くだけあって、少しは強いようだけど……会長の右腕たる、僕には敵わないんじゃ無いかなあ!」


いや、節穴ですか。

強くないよ。

華田なら片手で勝てるよ。


……まだ、俺の方がマシか。


「待て、華田。悪いけど、先を急ぐんだ。君は、俺が止める」


「会長?!どうして……」


「言えない。でも、今は行かせてくれ」



一歩踏み出す。


「ホダカ……」


エメラルドが、俺に不安そうに声をかける。

エメラルドは、転移組の実力を知っている。

不安になるのは当然だ。


「くれぐれも……やり過ぎないで下さい。少し脅かす程度で良いので」


「その忠告、逆じゃね?!」


俺が全力出しても、小揺るぎもしねえよ。


とにかく、派手な魔法を使って……目眩ましにして、逃げる。


「行くよぉ、会長!手加減、しないからねぇ!」


いや、しろよ。


華田の詠唱……あれは……神聖魔法。

とにかく、先手を。

無詠唱で氷の魔法を!


「コキュートス!」


こき


華田ごと、周囲が凍る。

時間すら緩やかに流れるその魔法を……華田はあっさり……


「ホダカ?!やり過ぎです!死んでしまいますよ?!」


あれ……なんで抵抗しなかったんだ?


「……恐ろしいのじゃ。普段見る炎の魔法も神がかっておったが……こちが本命であったか。勇者は修羅神仏とも渡り合う……その話も与太ではないのじゃの」


いや、あいつらは修羅神仏を笑ってころころできる筈……


<称号『では、華田副会長のステータスを見てみましょう』を獲得しました[1]>


いや、どうせSSSが並んで……


#########################


名前:華田はなだ花蓮かれん

レベル:13

 STR:F

 VIT:F

 DEX:F

 AGI:F

 MAG:E-

 MEN:E-

AS:

 [[ 神聖魔術 Lv.11 ]]

PS:

 なし

装備:

 ニケの杖

 イージス

 女神のローブ

SP:使えない

称号:

 所持できない


#########################


……?


華田と同じくらい強いんじゃ。

すげー弱い……?


<称号『ぱんぱかぱーん』を獲得しました[1]>

<称号『実はですね』を獲得しました[1]>

<称号『王女の使うステータス感知は、人間用』を獲得しました[1]>

<称号『測定可能なステータスの最大値SSSですら、人間の範囲であるF止まりなのです』を獲得しました[1]>


……え。


<称号『更に言えば、スキルレベル10で、ほぼ人の限界値。エメラルド姫のステータス感知では、999にあたります』を獲得しました[1]>


ちょ。


<称号『人を少しやめてる程度の人に、天使や悪魔並の魔力、数百倍の熟練度の魔法を放つなんて……やん、鬼畜ぅ』を獲得しました[1]>


「うわああああ、華田、だ、大丈夫かあああああ?!」


<称号『炎で焼こうぜ』を獲得しました[1]>


「死ぬよなあああああ、それ!!!」


俺の叫びが、停止した世界に響き渡った。


--


全てのステータス異常を回復させるポーション。

ちゃんと凍結+時間停止も解除してくれました。


華田は、ちゃんとぐるぐる巻きにしてある。


「……流石、会長だね。僕は昔から、キミにだけは敵わない」


「いや、俺がお前に勝った事なんてほとんど無いし、そもそも、高校入ってからはお前の超人ぶりも目立たなくなってたよね」


華田は天才だ。

だが、クラスメート達……あの超人達は、専門分野では華田を上回る事も珍しく無い。


「そんな事ない。僕が会長に勝っている事なんて……胸の大きさくらいだよ!」


ゆさり。

華田が豊かな胸をはる。


「それ以外にもたくさん負けていると思うよ!」


「……飛ばしっこを初め、キミには色々と負けてばかりだと思うのだけど」


「普通に足の速さとか、そういう話にしようぜ?!」


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2020/05/24:

王女使うステータス感知は、人間用→王女の使うステータス感知は、人間用

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