4話 一週間後

「グァァァァ」

5mを優にこえる巨体を持つ緑肌のモンスター、ゴブリンロードが大きな咆哮を発する。


「はあぁ≪白刃ノ一閃≫」

スズの持つ刀が白く光りゴブリンロードを一刀両断する。


「グギャァァ」

ゴブリンロードは断末魔を上げ消滅した。



◆ ◆ ◆



スズがこのゲームを始めてから一週間が経ち凄い勢いで成長し俺のサポートがあるとはいえ1人でゴブリンロードを倒してしまった。俺なんてゴブリンロードを倒すのに二週間以上かかったのに。


「はぁ」


「どうしたのリュウ君?」


「別に」

俺達はゴブリンロードがいた洞窟から出て今は街に戻る途中の森にいる。ここは最初の街からそこまで離れていなく初心者向けの森なので俺は勿論、スズも余り警戒する事無く移動する事が出来ている。


「危ない!」

俺は咄嗟にスズを庇いながら避ける。


「なんだ、避けたのか」


確かにモンスターに関しては問題無いが、プレイヤーがプレイヤーを襲うPKが起こる可能性を考えていなかった。何しろつい一週間前に街中でPKされたぐらいだからな。

俺は襲ってきた相手に注意を向ける。

その容姿は、全身が白い毛に覆われ体長10mはあるかというだった。


「どうした?かかって来ないのか?」


「も、モンスターが喋った」

スズは信じられないといった表情で驚くが、・・・そこ!?


普通は強さとか、種族とかに驚くと思うんだけど。何しろさっきまで戦っていたゴブリンロードの倍の大きさだし。まぁいいけど。


「はぁ。今、ちょっとやる気無いんで他の人に相手して貰って」

それだけ言うと立ち去ろうとするが、


「ちょ、ちょっと。待ちなさいよリュウ!」

狼は俺を行かせまいと俺の正面に回り込む。


「えーっと、リュウ君の知り合い?」

スズは動揺が治まらないまま俺に聞く。


「まあ」


「NPC・・・じゃない。プレイヤー?」

狼の方もスズの事に疑問を抱く。


「えっと、この狼はコハク。俺の知り合い。で、こっちはスズ。前に話してたリアルの幼馴染み」

俺は互いを指差しながら紹介する。


「幼馴染み。成る程、あんたがね。ふーん」

コハクは呟きながらスズを凝視する。


「えっと、初めまして」

それに対しスズは困惑しながらもあいさつをする。


「コハク、取り敢えず獣化を解いてくれ。スズが怖がっているだろう」


「むっ。分かったわよ」

コハクは何故かむくれるが獣化を解く。コハクは光に包まれ、姿が段々と小さくなり光が消えるとそこには耳と尻尾を生やした女の子が立っていた。


「え?どうなってるの」

スズはコハクが人になった事に驚いていた。


「スズ、これはコハクのスキルなんだよ。というか、既に見たことあるだろう?」

スズがこのゲームを始めた当日PKして来たプレイヤーが人狼に変身してたし、それに俺も30%まで竜化してたしな。


「あ!」

どうやらスズもその事を思い出したようだ。

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