第12話 口をきいてくれない夫

 夫は怒ると口をきいてくれない。

 ただでさえ普段から小さな声が更に小さくなって聴き取れなくなる。


 怒っていても、怒っている理由を教えてはくれない。

 私が考えたり察したりするしかない。


 考えても考えても、何も考えてないと思われ

 許してもらえる糸口は遠いままだ。


 私は夫に無視されるという生活を1日でも続けるのが辛くてたまらない。


 よく、同棲している恋人や夫婦で1か月くらい口をきいてないなんて話を聞くことがあるが、私だったらあり得ない。

 それに耐えるぐらいなら、一緒にいる生活を終わらせるか命を終わらせる方がずっとマシだ。

 それぐらいに嫌だし耐えられない。


 良い意味でも悪い意味でも進展が無いのが辛いのだ。


 昔、みーたんが良く言ってた


「私が怒っている理由を考えろ」


 と。考えたよ、考えて、考えてけれど私じゃない人間の事なんて、考えたって100%の正解にいけるとは限らないじゃないか。


 きっと夫も似たような感じなのだと思う。

 私に、怒っている理由を考えて配慮しろ、私の出来うる限りかそれ以上の改善をするようにと。


 けどさ、ずるいよ。

 私が怒ったって少しも私が怒った理由を考える事しないし、配慮だってしないじゃないか。


 私ばかり必死になって辛い思いして耐えて、怒っている理由をさぐらなきゃいけない。


 けれどそうやって私が怒っても、物事は悪い方にしかいかないのはやっと学習した。


 どんなに理不尽でも、私は夫が怒っている理由を推測し、それに対する最善の対処をしたり考えたりしなくてはいけないのだ。



 こうやって書くと、まるで夫が悪いみたいだが、悪いのは夫ではない。


 人間として未熟で人を傷つけ、それに気が付かない私が悪いのだ。

 それだけは間違いない。



 夫のことを文章にするのは難しい。


 そのままに書こうとすると、モラハラ夫だと間違われるからだ。

 そのうえ、それを庇う書き方をすると、私が夫にマインドコントロールされているとすら見られてしまう。


 でもそうじゃないんです。


 私が利己的過ぎるから、そして人として未熟過ぎるから色々と夫を悪者にするような出来事が起こってくる。


 難しいものです。

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