第4話 子どもがいない私たち

 私たち夫婦には子どもはいません。

 2人とも子どもは好きなので、望んではいました。


 とはいえ、不妊治療はしませんでした。


 理由は、私が夫を説得出来なかったからです。


 私の偏見かもしれませんが、性に関しての事と子どもを作る事に関しての知識って男性と女性って1:9ぐらいだと思うのです。


 男性は女性からしたら「え?」と思うぐらい性の事も子どもを作る事の知識に関しても分かっていません。


 うちの夫だけだろうって?

 いやいや、ネットを見ているとうちの夫の同類さんが大勢いるようです。


 子どもが欲しいからと、若い女性と結婚したがる男性がいる反面、30代後半のパートナーに対して何の根拠もない「まだ大丈夫だろう」という思いを持っている人が結構います。


 周りの友人にもいました。

 奥さん40代になってからでいいだろうなんて思った人が。



 うちの夫も私が40を過ぎても普通妊娠で余裕でいけると思っていたのだと思います。


 元々色々な事において少し偏った考えをする夫なので、不妊治療をとても特殊な事と捉えていたのだと思います。

 うちには関係ない事だと思っていた思います。



 今にして思うと、私は38歳ぐらいからすでに子宮体癌の予備軍だったんじゃないかと思うのです。

 それぐらいに体調が悪い事が続き、生理も不順で重かったのです。


 それもあり、夫はより、妊娠に対して積極的ではありませんでした。


 私も体調が悪い事が多かったため、自信が無かったのだと思います、子どもを作る事に。


 なので自然に任せていました。



 そうこうしているうちに、43歳の時に子宮体癌だと告知されました。

 年齢的な事もありましたが、子宮がかなり大きくなっていた事もあり、ホルモン療法は出来ず、開腹手術での子宮と卵巣の摘出という事になりました。



 もう子どもが産めないとなった私は産めないとなったからこその後悔はありましたが、良かったとも思いました。


 それは不妊治療もしないまま、閉経をいつのまにか迎えてしまった方が私にはもっと後悔があったろうし、辛かったんじゃないかと。


 それよりは手術で子宮を取ってしまわなければいけない状態になった事の方が、諦めがついたような気がすると。


 そして、もうひとつ。

 子どもが産めない、と決まっても夫は私を捨てず今後の夫婦2人の生活を普通に選んでくれました。

「命だけあればいい」

 と言ってくれた夫。


 それで私は思ったよりは平気でいられるんだと思います。

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