第57話 行き詰まり

 志学館をはじめ、さまざまなまちづくりのボランティア活動に参加し続けた。応援の恩返しのために。落選のお詫びに。支持者の気持ちに応えられなかった、贖罪のために。

 しかし落選から一年が経ち、次第に熱は冷めてきていた。

 時間とともに星野川市の誰もが選挙のことを忘れ、今では誰が立候補し当選したのかも憶えてはいないし、まして自分が投票した議員が議会でどんな質問をしているのかさえ関心がないようだ。

 僕自身の活動も、ノブちゃんとの計画は頓挫し、香山さんとの連絡も途絶え、他の同級生からも全く音沙汰がなかった。

 ボランティア活動からは、選挙運動へつながる人間関係の広がりが感じられなかった。当選に通じる確かな手ごたえは、まるでなかった。

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