第19話 選挙目前
大粒の雪が激しく舞う。告示まで三日である。
父の運転する車で、本城市に向かう。普段なら一時間の道のりだが、降りしきる雪に渋滞し、二時間以上かかった。かつて父が議長秘書を務めた県議会議員の門先生を訪ねたのである。出陣式での応援演説をお願いするためであった。
門先生は、西郷隆盛のように恰幅のいい人で、まさに政治家といった雰囲気である。急の申し出に対しても、「おお、分かった。応援しているから、精一杯がんばりなさい」と快く応じる。
建設会社の社長で二世議員ではあるが、その政治姿勢に私心はなく、常に県政を第一に考えている立派な人であると、帰りの車中、父は語った。人生意気に感ずるとは、こういう人を言うのだと。
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