届け、α線
宮瀧トモ菌
第一話「飛程」
会社の小会議室に一人、部長は夕暮れに
「ああっ部長、すみません。お待たせ
「いやぁ
「はい、実は
女はスーツの内側に
「おおっと、プレゼントが銃弾だったとは。まんまとサプライズ成功って
部長は少し
女は小火器を部長に向けたまま「部長、残念ですが信頼する部下を間違えましたね」と言い
部長は女に背を向けゆっくり遠ざかりながら、しみじみと
「いやー、しかし
部長は
女は早口で「申し訳ごさいません、そこまで深くは考えていませんでした」と
「あれっ、そーなの!? マグレってこと? まぁうん、
「ありがとうございます」と女は低頭したまま言った。
「ははは、お礼言われたよ。命
部屋に
「それでは部長。私の
「ははは、お願いされちゃったよ。ははは」
女は
部長は
弾が発射される、かと思われた。
しかし何も起きない。
二人の間を空白の時間が
部長は目を
女は手にしている銃をまじまじと見ながら「うーん、自作は問題だったのかなぁ」と
「え、その銃自分で作ったの?」
「はい。やっぱり手作りは気持ちが込もりますからね」
「いや全然
女は銃を地面に置いて正座した。続いて部長も正座する。二人きりの反省会が始まった。
「……えーと、で? これは何?
これは部長のそうであってほしいという本心の
「失礼な、違いますよ! 本気です」
「それじゃあ、その銃は
部長は少し残念そうにした。
「予定では、部長はもうすでにお
「人を殺すのに納期って何?
「そうですね、いっそ火葬場での
「やだよ!
女は地面に置いてある銃をぼんやり見ながら「α線が出るはずだったんです」と言った。
「α線?
「だってぇ、……
「あっ、この
女の
「え、ちょっと待って。それじゃ、君
「だってカッコ良くないですか?」
「あっ、取り返しようのない痛い
「
「分かっちゃうんだよね、おじさんねぇ」
過去を言い当てた部長に女は
ここで、部長が
「それにね、α線は空気中だと数センチで止まるから、俺には
「え?」
女は言葉を失った。窓から
「いや、ほら。α線は
女はそんな馬鹿なと言わんばかりの驚きを満面にしている。
女は
「いや、知らないよ! 数学が分からない生徒じゃないんだから。え、俺を殺そうとしてるんだよね?」
女は「
「無いよ、ヒントなんて! 俺を殺すヒントなんて無いよ!
「どうかお願いします! 一生のお願いですっ」
「えぇ!? いや自分で考えなさいよ! 君あんなに仕事できたのに……。多分スパイ向いてないよ、君!」
部長の
こうして
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