8.雷光の機械戦士と電子の人魚
武装した〈ヒトガタ〉達をショットガンと鉄拳で蹴散らし、目的地であるスイートルームを目の前にして、クロガネはついにトラウマと対峙する。
筋骨隆々とした二メートル超の巨体。
腕が異様に長く、大人の頭ですらすっぽりと包んでしまうような巨大な手。その指先から伸びる爪は、さながら大振りの鉈のようだ。
耳の近くまでに裂けた大きな口。鮫のような乱杭歯がズラリと並び、粘質のある涎に濡れていた。
顔の上半分を覆い隠すほどの無機質な金属プレートが埋め込まれ、中央に大きな赤いレンズパーツが一つ。
ヒトに近い形をしていながらヒトではない機械仕掛けの単眼を有した怪物――〈サイクロプス〉が行く手を阻む。
クロガネにとって悪い意味で馴染み深く、忌々しい
「ッ!? グ……ッ!」
失った左腕が激痛に襲われ、咄嗟に右手で義手を押さえる。苦痛に歪んだ険しい表情には脂汗が浮かんだ。
三年前、同型の〈サイクロプス〉に腕を喰い千切られた瞬間の感覚が蘇る。止めたくとも幻の苦痛には痛み止めも効かない。
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!」
咆哮と共に一体が急接近。痛みに耐えながらショットガンを発砲するも、銃身に添えていた義手がブレて照準が狂い、外してしまう。
「ちィッ!」
二発目は命中。〈サイクロプス〉の胸に徹甲弾が突き刺さる。鮮血が舞い、僅かに怯んだが止まる様子はない。
ショットガンの残弾は三発。彼我の距離はもう目と鼻の先だ。
怪物は腕を振り上げ、その鋭い爪で首を刎ねんと迫る。
クロガネは膝を折り、重力に逆らわず重心を落として紙一重で躱した。
回避と同時に逆手で構えたショットガンの銃口が、怪物の軸足を捉えた。右手で銃身を握り、左義手の親指で引き金を引いて擦れ違い様に足首を撃ち抜く。
地に着いていた足が消失して前のめりに倒れた〈サイクロプス〉の背中に跳び乗り、こめかみに銃口を押し付けて発砲。零距離で放たれた徹甲弾が強化外骨格で覆われた頭部を貫通して大穴を穿ち、〈サイクロプス〉は絶命する。
すかさず実弾が装填されたリボルバーを抜き、振り向き様に迫り来る二体目に向けて発砲。〈サイクロプス〉の象徴たる単眼の中心に命中したが、38口径の拳銃弾程度では致命傷になり得ない。
――『生存の引き金』を発動。世界が色褪せ、時間が引き延ばされる。
歯を食い縛って頭痛に耐えつつグリップをしっかりと握り、発砲。
銃声は一発分だが、銃弾は二発放たれていた。
最初の銃撃で単眼に付いた僅かな傷痕に一発目が命中、同じ箇所にコンマ数秒遅れで二発目が命中した瞬間――
「――ッ!?」
マグナム弾すら弾く強固な単眼レンズに、蜘蛛の巣状の亀裂が走った。
眼を奪われた〈サイクロプス〉は無様に転倒し、クロガネのすぐ横を通過する。
「痛ッ」
クロガネが苦悶の声を漏らす。能力の反動による頭痛は元より、右手首も痛めた。瞬間的に二連射したのだから当然である。
「流石に無理があったか……」
だが視覚を失ってのたうち回る〈サイクロプス〉を見て、充分な見返りだと判断。
最初の命中弾によって目標に与えた衝撃の運動エネルギーが拡散される前に続けて第二撃を加えることで、積み重なったエネルギーの相乗効果が発揮し、一発では破壊できない強固な装甲を破壊可能とする集弾効果。本来ならば、秒間何十発も吐き出す機関銃などによって初めて見込まれるものだ。
それを『生存の引き金』で狙撃力を、強装弾で威力を底上げしているとはいえ、たった二発で実現したクロガネの射撃技術も凄まじい。
「……義手でも使えたら良いのにな」
理論上、単純構造のリボルバーだからこそ可能な瞬間二連射による同一箇所の集弾破壊だが、固定した銃でさえ反動で着弾点がブレるため義手では実現できない。訓練による反復で生身の肉体に覚え込ませたからこそ可能な技術なのだ。例え実現したとしても、トラウマが相手では幻肢痛でまともに狙えないだろうが。
獣のような叫び声を上げ、デタラメに腕を振り回して壁に爪痕を量産する〈サイクロプス〉へ慎重に近付き、ショットガンで頭を吹き飛ばす。
怪物の巨体が高級なカーペットに沈み、静かになった。
「ふぅ……」
完全に弾切れになったショットガンを捨てて疲れが多分に滲んだ溜息を漏らすと、不意に鼻の奥に鉄の匂いが広がった。何となく鼻の下を右手の甲で拭うと、手袋に鼻血が付着している。
ついに『生存の引き金』の反動が目に見える形で現れ始めたのだ。
「流石に使い過ぎたか……あと一回が限度だな」
使わないに越したことはないが、そうもいかないだろう。
ハンカチを取り出して鼻血を拭い取り、装備の確認をする。
45口径ハンドガンにはゴム弾が七発装填済み、予備弾倉は一本の計十四発。
敵から奪った実弾七発の弾倉が二本。計十四発。
リロードしたリボルバーには強装弾五発フル装填、予備のスピードローダーはあと一つ。バラで二発の計十二発。
トレンチナイフ一振りに、スモークグレネードが一個。
「そして
五指を閉じて開き、
「よし」
スイートルームの扉を見やる。対オートマタ・サイボーグ戦ならあと一回はギリギリこなせる。もしもそれ以上の戦力が控えていたら迷わず撤退――
「……いや」
――美優の顔を思い浮かべる。
「ここまで来たんだ、手ぶらで帰りたくはないわな」
覚悟を決め、義手で拳を作って大きく腕を振り被る。
「入室前のノックは忘れずに」
そう
獅子堂玲雄は、護身用の拳銃を手に落ち着きなくスイートルームをうろついていた。先程から部下と連絡が付かず、依然として電力は復旧しないため、不安が雪だるま式に大きくなっていく一方だった。
「くそッ! どうして俺がこんな目に――ヒッ!?」
身勝手な悪態を遮る形で轟音が鳴り響き、部屋の扉が吹き飛ばされた。
思わず身を竦めた玲雄は震える手で拳銃を構える。
やがて、絨毯を踏み締める足音が聞こえた。扉を破って何者かが侵入してきたのだと理解する。
全身の震えが止まらない。
やがて暗闇の中、油断なく拳銃を構えたクロガネが現れる。
病院で射殺された筈の探偵を目にした玲雄は恐慌し、
「あ、ああああああッ!」
デタラメに引き金を引いた。
クロガネは何をするでもなく、その場に佇んでいる。狙いが定まらないまま立て続けに放たれた銃弾は一発も掠りもせず、背後の壁や足元を穿つだけだった。
やがて、スライドが後退したまま拳銃が沈黙する。弾切れだと玲雄が気付く前に、悠々とクロガネが歩み寄る。
「ヒッ!?」
玲雄が息を呑むと同時に二発発砲、両脚にゴム弾が命中する。
「ぎ、ぎゃあああああッ!」
あまりの激痛に絶叫して涙を流し、その場に崩れ落ちてのたうち回る。
「脚が! 俺の脚がぁああッ!?」
「実弾でもないのに大袈裟な奴だ。しばらくすれば痛みも引くし、問題なく歩け」
「……くろガねサん?」
呆れた台詞の後半が、第三者の声によって遮られる。
クロガネは、ベッド上の人影に視線を移した。
「……美優?」
見覚えのある人影に呼び掛けると、暗闇に浮かぶ緑色の瞳が動揺したかのように揺らぎ、
「ぁ……イやッ、見ナいでッ!」
強く拒絶する声が響き渡る。
その時、雲が流れ、月がその姿を見せる。
最上階に設置された壁一面の窓から月明かりが差し込み、美優の身体を照らした。
「!?」
クロガネは息を呑んだ。
両手をベッド柵に手錠で繋がれた美優の姿は、見るも無残なものだった。
衣服は一切纏っておらず、全身の至る所を刃物で切り裂かれ、傷口から銀色の金属骨格が剥き出しになっている。
特に下腹部はまるでその下にあるものを抉り出そうと試みたかのように、何度も執拗に切り付けられて皮膚がごっそりと消失していた。
そして極めつけは、顔の左半分の皮膚がなかった。左耳は切り落とされ、鈍く輝く金属質の骨格が露出し、大きさがピンポン玉ほどある義眼がギョロ、ギョロと落ち着きなく動いている。不安と恐怖に歪みながらも、無事に残された右半分の美しい顔が余計にその悲惨な姿を浮き彫りにしていた。
「ゥ……見ないデ、くダさイ……ッ」
喉――人工声帯まで切り裂かれたせいか、ノイズ混じりの震えた声で美優は懇願する。
顔を見られないように俯き、右目から洗浄液が――涙が零れ落ちた。
呆然としたクロガネが思わず一歩踏み出すと、硬い感触が足裏に伝わる。
そこには、ボロボロに刃こぼれした果物ナイフがあった。
怒りが一瞬にして頂点に達した。
「ギャッ!?」
こっそり逃げようとしていた玲雄の背中にゴム弾を撃ち込んで動きを止める。
大股で近付き、義手で襟首を掴むと力任せに放り投げた。
成人男性の身体が軽々と宙を舞い、
「ガハッ!?」
背中から勢いよくガラス製のテーブルに叩き付けられた。テーブルは粉々に粉砕される。
「グゥ……!」
朦朧とする玲雄の首を掴んで持ち上げると、街をパノラマで一望できる窓に押し付け、腹にゴム弾を容赦なく全弾撃ち込んだ。
「ァ……」
失禁して失神した玲雄をゴミのように投げ捨てる。
弾倉交換を行い、ゴム弾が装填された拳銃からリボルバーに切り替える。カチリと撃鉄を上げるや否や、玲雄の左手を実弾が貫いた。
「グギ、ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
無理矢理覚醒され、玲雄の口から絶叫が迸る。
「あ、あああ痛い痛い痛いィイイイイイイッ!」
出血する左手を押さえて泣き喚く玲雄を見下すクロガネ。その目は氷よりも冷たく、その表情は何の感情も窺えない。まるでロボットのようだ。
「ぅ、グッ、この無礼者めッ! 俺を獅子堂玲雄と知ってここまでやるとは、ヒッグ、よほど死にたいようだなッ!」
迫り来る絶望と死の予感から辛うじて玲雄を支えているのは、権力にしがみつき盾としたみっともないプライドだけだった。
「……ハァ、ハァ、だがどうだ? 俺の一存でお前を助けてやってもいい、この無礼も許してやる。俺の側近にならないか? 給料は言い値で払うし、女が欲しければ飛び切りの美女を用意してやる」
クロガネはピクリとも表情を変えず、無言のままリボルバーの撃鉄を上げる。
「待て待て待て!? 俺を殺せば大変なことになるぞ! これは本気でお前のために言ってるんだ! 俺を殺せば、獅子堂が総力を挙げてお前を殺しに来る! お前の身内も関係者も全員巻き添えだ! それでも良いのか? ここで俺を殺して全てを失うより、俺に仕えて全てを手に入れた方が賢い選択だと思わないか?」
跪いた状態からの説得……に見えて、その実上から目線の命乞い。結局のところ、玲雄の頭にあるのは下らない自尊心と保身でしかない。現に権力者の息子である事実が絶対のアドバンテージだと信じ、これ以上の暴挙に出ることはないと考えているのだろう。
だが、それは大きな勘違いで見当違いも甚だしい。
今のクロガネに、獅子堂の権力も脅迫も説得も譲歩も一切通用しない。
返答は銃声。今度は右肩に風穴が開いた。
「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!? な、何でッ!?」
思わず蹲まる玲雄の後頭部に、銃口を押し当てる。その感触とカチリと撃鉄を上げる音に、玲雄は痛みを忘れて動きを止めた。
「ほ、本当に殺すのか? 俺を? い、嫌だッ! 死にたくないッ! どうして、俺が何をしたっていうのッ!? た、助けて、助けてくださいッ! お願いします! 何でもしますから! だから、だから助けて!」
本気で命乞いを始める玲雄に対し、クロガネは慈悲も容赦もなく引き金を絞る――寸前、
「……くロ、ガねさン……」
美優の声が聞こえた。
引き金に添えていた指の力が抜ける。彼女はじっとクロガネを見ていた。その機械仕掛けの緑眼に何を見たのか、玲雄の後頭部から銃口を外す。
「へ?」玲雄が間抜けな声を上げた。
クロガネは美優の傍に近付くと、彼女の手とベッド柵を繋いでいる手錠の鎖をリボルバーで破壊する。反対側も同様に破壊した。
自由を取り戻した美優は、すかさず両手で機械が剥き出しになった顔を覆い隠して俯く。
「……ごめんな、少し取り乱した」
穏やかな声に顔を上げると、ばつの悪そうな顔をしたクロガネが居た。
コートを脱いで美優に羽織らせると、そっと伸ばした右手が美優の手をどけて剥き出しになった機械の頬に触れた。
「痛そうだ……こんなことになるなら、もっと早く駆け付ければ良かった。本当にごめん」
「……ッ、痛クはあリマセん、にんゲンではナいのデすかラ」
「美優は『人間になる』んだろ? それがお前の夢で、お前からの依頼だった筈だ」
「……ァ」美優が言葉に詰まる。縋るようにクロガネの手に触れる。
「……ドうシテ、クロがネさンはココまデ……」
「それは――ッ」
「ヒッ!?」
唐突に言葉を切り、クロガネは美優を庇いつつリボルバーの銃口を玲雄に――ではなく、その背後に向ける。
そこにはいつ現れたのか、トレンチコートの男が佇んでいた。
コートの襟を立てて帽子を目深に被っているため、顔が見えない。
「……誰だ?」
視線を感じるまで気配すら察知できなかった。突然現れた男に、美優はおろか彼のすぐ近くに居た玲雄ですら目を白黒させている。
「……私は【パラベラム】の使いです」
男は静かにそう告げると、一同は息を呑んだ。
反サイバーマーメイド団体【パラベラム】。AI管理社会に異を唱え、世界中で過激なテロ活動を行っていることで有名な犯罪組織である。
「テロリストが何故ここに?」
「こちらに居る獅子堂玲雄の確保に――」
そこまで聞くや否や、リボルバーに込められた最後の一発を男の肩に撃ち込んだ。
「……いきなりですか。流石は元ゼロナンバー、容赦がない」
悠々と防弾コートに張り付いた銃弾を払う男に舌打ちし、クロガネは素早くスピードローダーでリロードを行う。
「やれやれ、私は貴方にもそこのガイノイドにも用はないのですがね。とりあえず、一旦落ち着いてその物騒なものを下ろして頂けませんか? OK?」
それは「撃って下さい」と言ったも同然なネタ台詞だ、随分と余裕な態度である。
「OK、ッ!?」
お約束に倣い、容赦なく撃とうとした寸前で、壁をぶち破って新たな闖入者が現れた。
全長二メートル超、西洋甲冑に酷似したデザインの黒い複合装甲を隙間なく身に纏った機械仕掛けの怪物だ。鎧兜からは雄々しい角が二本伸びており、青く光るスリット状のカメラアイがクロガネを捉え、身の丈に匹敵するような巨大な戦斧を軽々と振り被った。
咄嗟に美優をベッドから突き飛ばし、その反動を利用してクロガネも離れると一瞬前まで二人が居た空間に戦斧が叩き付けられた。轟音と共にベッドは真っ二つに折れ、その下の床までもが粉砕される。
美優の無事を確認する余裕もなく、クロガネはその桁外れの出力に戦慄した。
「その場で待機だ、〈アステリオス〉」
【パラベラム】の使いと名乗った男の指示に、怪物――〈アステリオス〉は片手で持った戦斧の石突きをドンッと床に打ち付けると、直立不動のまま動かなくなった。
油断なくリボルバーを構えて警戒しつつ、クロガネは男とその傍らにいる玲雄を視界に収める。
「……AI社会に反発しておきながらAIが搭載された兵器を使う……矛盾しているぞ、【パラベラム】」
「何とでも。月並みですが、目的の為ならば手段は選びません」
立てますか? と男は玲雄に手を差し伸べる。
「そいつをどうするつもりだ?」
「我々がスカウトし、保護します」
「スカウト? 保護だぁ? 冗談言うな、そいつは親のスネ齧って好き勝手に悪行三昧していたゲスだぞ。犯罪組織でもまともに働けるわけがない」
男の手を借り立ち上がった玲雄が発火する。事実だろうに。
「しかしながら彼の頭脳だけは優秀です。だからこそ私は回収に参りました」
「……頭脳だけ? 回収? まさかお前……!?」
「ええ、我々は獅子堂玲雄の脳だけを生きたまま入手できれば良いのです。あとはどうなろうと構いません」
さらりと恐ろしい目的を明かすと、青ざめる玲雄の鼻っ面に拳銃を突き付ける。
「では共に参りましょう。生身のまま父親やあの男に苦痛を伴う折檻を受けるか、我々の元で悠々と穏やかに世界征服のお手伝いをするか、どちらがよろしいですか?」
クロガネ自身、犯罪者を完膚なきまで痛めつけることに異論はない。だが、罪のない多くの人命を奪うことに利用されるのであれば――
「待て、そんな俺以上に外道な真似は見過ごせん」
リボルバーの銃口を〈アステリオス〉から獅子堂玲雄の頭部に向ける。
「なるほど、我々の手に堕ちるくらいなら殺すと……合理的で最善手ではありますが、良いのですか? 彼女が見ていますよ?」
振り向き、美優と目が合う。その痛々しい姿にしたのは他でもない獅子堂玲雄だ。本来ならば助ける義理も生かす理由も価値もない。
「ここまで誰一人殺さなかったのは彼女の為なのでしょう? その努力が全部無駄になりますが、よろしいのですか?」
「ちっ……!」
男は的確に痛いところを突いてくる。
――ここで玲雄を殺せば、多くの人間を救うことに繋がるかもしれない。
その代わり、美優は自分のせいで(たとえ悪人だとしても)死人が出たと一生後悔を背負いかねない。まして獅子堂玲雄は腐っても彼女の親族に等しい存在だ。
――ここで玲雄を殺さなければ、美優の存在は確かなものとなる。
その代わり、更に力を付けた【パラベラム】は世界征服に一歩近付き、多くの人間が傷付き命を落とすことになりかねない。
「……どちらを選ぼうが構いませんが、我々にとってやはり貴方の存在は邪魔ですね。〈アステリオス〉、その男を殺せ」
命令を受諾した〈アステリオス〉のカメラアイが光り、戦斧を手に突撃してくる。
「くそッ!」
〈アステリオス〉の頭部に瞬間二連射。〈サイクロプス〉戦で見せた集弾は同じ箇所に命中するも、鎧兜の表面を浅く突き刺さるだけに留まった。
(硬いッ!?)
運動エネルギーを分散させて停止させる複合材――クロガネの防弾スーツと同様の原理を用いた特殊装甲だ。貫こうにも手持ちの武器では火力不足、右手首を余計に痛めただけだった。
戦斧を振り被った腕と柄の角度から太刀筋を読み、大上段からの振り下ろしを紙一重で回避――したのも束の間、即座に刃を返して横薙ぎの第二撃が迫る。咄嗟に屈んでやり過ごすと、大きな影が差した。見上げると〈アステリオス〉の巨体が浮いている。
「ちょッ!?」
慌ててゴロゴロと転がって影から抜け出した直後、重い音と共に〈アステリオス〉が着地して床が陥没する。あと一瞬遅かったら、あの巨体と質量に踏み潰されて即死だった。
「コイツは洒落にならんな……!」
全力で振り下ろした大質量武器の慣性を物ともせず、途中で軌道変更させた制動力。即座に次の攻撃へ移行する戦術思考。単純な出力や質量は元より、これまで戦ってきたオートマタや
ちらりと横目で見ると、トレンチコートの男が玲雄と共に離脱しようとしている。どうにかしようにも〈アステリオス〉から目は離せない。ほんの少しでも気を緩めたら瞬殺される。
油断なくリボルバーの弾倉を振り出し、空薬莢だけを抜いてバラ弾で二発装填し、弾倉を戻す。
(……これでリボルバーの残弾は五発。キンバーは満タンだが、中身はゴム弾で豆鉄砲同然だな)
互いに睨み合う膠着状態に陥った。〈アステリオス〉も最初の三連撃が躱されて警戒しているのだろう、随分と賢いAIを搭載しているようだ。
(ナイフは通じない。スモークグレネードでは倒せない)
必然的に義手を意識する。
(消去法で有効打を与えられそうなのは、『破械の左手』しかない……)
『破械の左手』。それはクロガネの義手に内蔵されてある
(ただし、致命的な弱点が二つもあるのが厄介だ)
一つ目、エネルギーのチャージに時間が掛かる。
パワーソースはクロガネの疑似心臓から賄っており、義手内部のケーブルを経由して掌に仕込んだEMP発生装置にエネルギーを伝達・充填させる。チャージ開始から射出準備完了まで十七秒もの時間を要する上に、指先と掌がEMP射出用に展開するギミックの構造上、チャージ中は拳を握ることも武器を持つことも出来ない。また使用後は排熱と冷却を挟むため、再チャージまで更に時間が掛かるのも大きな欠点だ。実質、一発勝負である。
二つ目、リーチが極端に短い。
生身の腕とほぼ同じサイズの義手内部に仕込むほどの大きさとなると、当然EMPの威力もリーチも軍用のものと比べて極端に小さく短くなる。
最大威力を発揮する射程距離は約二〇センチ以内。オートマタを確実に破壊するとなれば必然的に零距離で直接当てる必要があるのだ。そこまでの接近は当然ながらリスクも大きい。
今のところ、クロガネの『破械の左手』で破壊できなかったオートマタは存在しないが、〈アステリオス〉は完全に未知の敵である。現状の装備でどこまで渡り合えるか不明な上に、何とかEMPを当てたとしても破壊に至らなければ即返り討ちにされるだろう。
(総合的に見て、明らかにこちらが不利どころか絶望的な状況……だが)
彼我の戦力差を客観的に考慮した上で覚悟を決める。
どれほど絶望的な状況でも、生きている内は敗北ではない。
(死が敗北ならば、負けられない。もう二度と死ぬものか)
脳裏に浮かぶのは、必ず守ると誓った筈の今は亡き少女。
背中に居るのは、機械仕掛けの身体に人間の心を宿した彼女の一人娘。
(思い出せ、守るべき者の前で戦った最強の自分自身を)
――迷う必要などなかったのだ。
折れない覚悟と決意を胸に、一歩前に出る。
遅れて〈アステリオス〉も一歩前へ。
――黒沢鉄哉は、既に守るべきものを選んでいたのだから。
両者は同一のタイミングで飛び出した。
遠くで聞こえる戦闘音を無視して非常階段を上り、トレンチコートの男は玲雄を連れて屋上へ向かっていた。
「な、なぁ、俺をどこに連れて行くんだ?」
「とりあえずヘリポートですかね? その先は貴方にとって天国なのか地獄なのかは知りませんが、まぁ自業自得ということで人間らしい生き方は諦めてください」
「……くそ、どうして俺がこんな目に……」
「……本気で言っているのならどうしようもないですね。貴方によって酷い目に遭わされ、理不尽に大切なものを奪われた多くの人間が同じ台詞を言っていたと思いますが?」
「それは、俺が獅子堂の」
「因果応報」
ごり、と玲雄の後頭部に銃口を押し付け、必死の弁明を遮る。
「己の罪は巡り巡って己に返ってくる、世の常でしょう?」
恥も外聞もなく玲雄は泣き出し、怒鳴り散らす。
「ふざけるな! 何でッ!? どうして俺がこんな、アイツだ! あの探偵が俺をコケにしてッ! バカ妹の造ったあの人形に執着する変態がッ! 全部アイツのせいだッ!」
自分に一切の非がないと盲信し、全ての原因は他者に在ると感情に任せて喚き散らす。
自己責任能力の欠如。我欲に忠実で他人の苦痛を理解すらせず、追い詰められれば最優先で保身に走る破綻した人間性。
「まったく……度し難い、ねぇッ!」
男は玲雄の背中を足蹴にし、ヘリポートに通じるドアに押し付ける。
「ガッ!?」
「何度でも言ってやるが、他人を踏みつけても支配者の息子である自分にはそんなことは起こらないとでも思っていたのか? それこそ、ふざけるな!」
男はドスを効かせた声で玲雄の
顔を上げると、けたたましいローター音と共にヘリコプターが一機、ヘリポートに鎮座していた。
「さっさとあのヘリに」
轟音。ローター音を引き裂いて飛来した銃弾が防弾コートを易々と貫通し、男の胸に拳大ほどの風穴を開ける。気付けばヘリの扉が開かれており、機内から五〇口径対物ライフルを構えた小柄な人影が見えた。
ヘリのメインローターは回転数を上げるどころか耳障りな風切り音が徐々に収まっていき、エンジンが停止する。
「……やれやれ」
明らかな致命傷を意に介さず、男は冷静に銃口を玲雄へ向けて発砲しようとした瞬間、下方から斜め上に一筋の閃光が走り、引き金に掛けていた人差し指ごと拳銃が両断される。
いつの間に現れたのか、高周波ブレードを持った黒服の男が目の前に居た。返す刀でトレンチコートの男の首を刎ね、目深に被っていた帽子が宙に舞う。
「ひっ」
斬り落とされた首が、地面に這い蹲った玲雄の目の前に転がった。
「こ、コイツは、〈ヒトガタ〉?」
呆然と機械仕掛けの頭部を見つめる玲雄。
トレンチコートの男の正体は人間ではなく、オートマタだった。直立した首無しの胴体には出血もなく、胸部の風穴には破壊された機械部品が覗き見られ、時折小さな火花を散らしている。
キン、と涼やかな金属音に我に返って見上げると、納刀した男が冷たい視線を玲雄に向けていた。
「お前は確か、ブラボーゼロ……まさか」
「……聞くところによれば、随分と
大型ライフルを背負った褐色肌の少女を連れ添い、壮年の男が玲雄に歩み寄る。
「……もう帰って来たのかよ、親父」
傍若無人な玲雄が力なく呻き、鋼和市の頂点に君臨する真の支配者は厳かに頷いた。
「ああ、ただいま」
獅子堂光彦――獅子堂重工会長にして獅子堂家当主、そして玲雄の父親である男が鋼和市に帰還した。
駆けるクロガネの後を戦斧が追い縋り、その刃の軌道上にあるものは一切合切を両断し、例外なく破壊していく。
「ッ!?」
戦斧が切り裂いた壁を〈アステリオス〉は空いた手で殴りつけて破片を飛ばしてくる。なまじ馬力が凄まじいため、飛んでくる破片群はまるで散弾のようだ。
咄嗟に頭を庇いながら身を低くして回避する。
頭上を通過した大きな破片が壁一面の窓ガラスに直撃し、着霜したかのように白く曇った。高所の風圧や飛来物に対応した強化ガラスだけあって割れない辺り、流石は日本製。そして躱し損ねて肩や背中、太腿に小さな破片が直撃しても貫通しないスーツ。これも見事な代物だが、かなり痛い。
「~~~~ッ、――ッ!」
必死に歯を食い縛って激痛に耐えつつ追撃の戦斧を回避、振り下ろした直後の僅かな硬直時間を逃さず、リボルバーをスリット状のカメラアイの右側(右目)に突き付けて零距離瞬間二連射。
〈アステリオス〉は振り下ろした戦斧を僅かに持ち上げると、刃を寝かせて足を刈らんとばかりに薙ぎ払う。
留まれば両足首は切断される、真上に跳んで躱せば――大砲のような拳が迫ってくる!
「ふんッ!」
クロガネは空中で上体を反らし、両の足裏を突き出された拳に乗せて両膝を曲げる。そして〈アステリオス〉が拳を振り抜いたタイミングに合わせて脚を伸ばし、水平に跳んだ。
跳んだ先にソファーがあるのは把握済みだ、勢いよく座り込むような形で着地。
だが慣性までは殺し切れず背もたれごと後ろに倒れ、床に投げ出された。受け身は取ったので大したダメージはないが、
「……映画のようにはいかないな」
一言ぼやいて回避行動に移るのと、〈アステリオス〉が戦斧を振り被ってダイブしてくるのが同時。轟音と共に戦斧が叩き付けられる。
その一瞬の硬直を逃さず、先程と同じ箇所に再び零距離で全弾撃ち込む。
発砲の反動で右手首に痛みが走るが、集中的に狙った甲斐はあったようだ。〈アステリオス〉のカメラアイの右半分が破損して視界の半分を喪失させた。
弾切れになった
タイミングを計って戦斧の振り下ろしを躱し、クロガネは鋭い踏み込みと共に強烈な左フックを〈アステリオス〉の右頬にぶちかました。
強固な複合装甲が陥没し、拳の形がくっきりと彫り込まれる。
「グッ!」
圧倒的な質量差と高硬度の装甲を全力で打ち抜いた義手が悲鳴を上げ、衝撃で肩に痛みが走る。
強烈なカウンターに
「……ッ」
痛めた右手首の具合が悪化していた。銃口が跳ね上がらないよう、反動の強い45口径を力ずくで抑え付けていたのだから無理もない。
拳銃のグリップに最後の弾倉を叩き込んだクロガネは左袖を捲り上げ、義手のギミックを展開。疑似心臓からエネルギーが充填される。甲高い高周波音が鳴り、義手の甲にオレンジ色の光が円を描き始めた。
(何とか、右目に当てれば……)
カウンターを狙おうにも同じ手は二度と通用しないだろう。
チャージ完了まであと十四秒。
拳銃の残弾は七発、右手首を痛めた現状では精密射撃は難しい。
『生存の引き金』はあと一回、使いどころを見誤れば終わりだ。
時計回りに移動し、常に〈アステリオス〉の右手側――死角に回り込む。無事な左目を向けてクロガネを視認し、行動に移るまでの僅かなタイムラグ、そこを突く。
だが〈アステリオス〉にもクロガネの狙いが読めたらしく、柄の端一杯まで握った戦斧を左右横薙ぎに振るい始める。大質量の長柄武器のリーチを最大限に活かした上に切り返しも速いため、懐に飛び込むことが出来ない。
「デタラメだ……!」
竜巻の如く振るう戦斧の軌道上にあるものは例外なく両断し、粉砕し、破壊した。飛び散った破片が散弾となり、咄嗟に物陰に潜んでやり過ごすも、
「うッ!」
小さな破片が額に当たり、鮮血が舞う。額から流れ出た血が目に入り、一時的に視界が封じられた。すぐさま音と勘を頼りに暴風圏からの離脱を試みる。
気付けばバスルームにまで移動していた。これ以上逃げ場のない完全な袋小路だ。
壁一面に貼られた鏡に、追い詰められたクロガネの姿が映る。
***
安藤美優は稼働して以来、最大級の恐怖と焦燥感を覚えた。
窮地に追い込まれたクロガネの姿に、病院で撃たれた姿が重なる。あの時は本当に彼が死んだと思った。
今度こそ彼を助けたい、守りたい一心で周囲を見回す。
(せめて、ネットが使えれば……!)
〈アステリオス〉の電脳にクラッキングを仕掛け、何かしらの援護は出来る筈だ。だが玲雄の
ならばと、美優は壁際まで移動して何かを探し始めた。
(きっと、『あれ』があるはず……!)
やがて美優は受話器が外れて転がっている有線式の内線電話を見つける。
その電話線を辿ると、ベッドチェスト裏の壁に設置されたコンセント端子に行き着いた。
(あった!)
コンセント端子とセットで備え付けられている凸型をした四角い差込口を二つ見つける。一つは電話線を介して内線電話と繋がっており、もう一つは規格が違うためか空いていた。
(これなら……!)
美優は右手の人差し指を立てると、指先がスライド展開して小さなコネクタが飛び出した。それを空いていた差込口――LAN端子に差し込む。
美優の義眼が、力強い緑色の光を帯びる。
(行ける!
一瞬にも満たない光の速さで、美優の意識は鮮やかなコバルトブルーに彩られた電子の海を駆け抜けた。
《接続完了。サーバーコードJCM007A。情報保安権限に基づき、当該システムにおける干渉支配権を要請》
世界に七基しか存在しない高性能自律管理型AI〈サイバーマーメイド〉。
その最新型である〈日乃本ナナ〉に、アクセスコードを入力する。
《要請受理を確認》
人魚の姿をした美優の情報体は複数に分裂し、電脳世界を流星のように駆け抜け、全てを光で満たす。
美優は改めてクロガネと〈アステリオス〉を視界に収めた。
《各対象名を〈クロガネ〉、〈アステリオス〉と設定。〈アステリオス〉のネット回線を検索》
[ERROR]
《攻性防壁の展開を確認――セキュリティレベル甲――ダミーコード散布――逆探知を回避――成功――演算開始――防壁突破の所要推定時間186秒/現実世界換算――アクセスコードを変更――キーワード追加――再検索》
[ERROR]
《攻性防壁の展開を再確認――ダミーコード再散布――検索レベルを甲から乙へ下方修正――再演算開始――再々検索》
[SUCCESS]
強力な電子戦対策が〈アステリオス〉に施されていたため、美優のハッキング能力を以てしても今すぐ機能停止は出来ない。だが、視界に侵入・同期することは出来た。
同期した〈アステリオス〉の視界に、ふらつく足取りでバスルームへ逃げ込むクロガネの姿が映る。まずい、絶体絶命だ。
《クロガネさん、聞こえますか?》
クロガネの多機能眼鏡と同期し、フレームに内蔵された骨伝導式無線機に『声』を送る。疑似声帯が損傷したとしても、ネット回線を介さえすればクリアな声を伝えることが可能だ。
『美優か? 二秒で良い、ハッキングで奴を止められないか?』
少し驚いた声音で応答したのも束の間、瞬時に状況を理解したクロガネは最小限かつ的確な指示を出してくる。
《すぐには無理です、三分ください!》
『長すぎる! 三分も
ゆっくりとした足取りで、〈アステリオス〉がバスルームへ向かう。
《対象がそっちへ向かっています!》
『くそ……ッ』
万事休すな悪態に、美優も焦る。すぐにでも〈アステリオス〉を停止する方法を検索するも、まずは防壁を突破しなければならない。それには三分という厚く高すぎる壁が立ちはだかる。
『……俺と奴との距離は把握できるか?』
ふと冷静になったクロガネの問いに、美優のAIが解答を弾き出す。
リアルタイムでクロガネの眼鏡に搭載されているカメラと同期。
クロガネと〈アステリオス〉の視界を共有した美優は、ネット回線を介する際のタイムラグも計算に入れて瞬時に両者の正確な距離を算出する。
《クロガネさんから見て一時の方向、八メートル……七……六……》
***
――ここから先は三者三様の視点で起きた出来事であり、リアルタイムで同時に全ての視点から美優が目撃したものだ。
クロガネの視点では、バスルームの出入り口に向かって缶状の何かが転がっていく。
美優自身の視点では、バスルームから大量の煙が噴き出す。
そして〈アステリオス〉の視点では、クロガネの脳天に凶刃が叩き付けられた。
***
バスルームの壁を破壊して、〈アステリオス〉が踏み込む。
直後、足元に転がったスモークグレネードが噴き出した煙に視界を奪われ、思わず動きが止まった。
――銃声。煙幕の向こうから飛来した銃弾が胸部装甲に当たる。
銃声の位置と弾道の角度から標的の位置を即座に割り出し、戦斧を振り上げると、その風圧で煙が吹き飛ばされ、晴れた視界の先にクロガネの姿を視認。
その脳天をカチ割らんと、戦斧を叩き付けた。
クロガネは――彼の姿が映った鏡は、音を立てて粉々に砕け散った。
『――!?』
半壊した視覚センサーが、煙幕と銃撃の発射位置に惑わされて虚像を掴まされたと気付くより早く、すでに懐に潜り込んでいたクロガネの義手――『破械の左手』が〈アステリオス〉の右目を覆った。
義手の甲に刻まれたチャージングリングは既に真円を完成させ、オレンジ色から緑色になっている。
「死ね」
冷徹な死刑宣告と共にEMPが炸裂し、〈アステリオス〉は一瞬ビクリと全身を震わせると、戦斧を鏡に叩き付けた状態のまま永遠に動かなくなった。
クロガネは油断なく残心をして怪物から離れると、義手の排熱機構が展開して勢いよく蒸気を噴き出した。
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