第一話 ミノレコイ

皆は先生に恋したことある?ない?


私はある!

素敵すぎるセンセイに恋した。


え?「どうせオジサンでしょ?」って?

違う!あの人はトクベツなんだ。


出会った時から…ずーっと!


ー…恋は始まってた!

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ー…始業式


桜が満開で…皆を優しく包み込む。


「クラス替えか〜…」

凪咲が吐き出すように言う。


「…とか言いながら、イケメン探ししてるし」

カレシいるのにね〜、って小声で言う。


「分かってるけど〜…やっぱり、

 イケメン探しはついしちゃうんだよね〜」


凪咲はマイペースで焦りがない。

恋にも積極的で、おまけにモテたり…


「いっとばちゃ〜ん!!!」

ドッキーン!びっくりしたー…


しおちゃん!」

「よっ!」


と言った汐ちゃんの後ろには、

イケメン先輩集団・I3がいた。


「お、汐見に青海に実浬じゃん!」

I3の一番人気・春満ハルが言う。


ハルは私の幼馴染✨

「ハル、なんで2階にいるん…、

 3年は3階やろ?」


呆れた私に、ハルは

「1年に美少女がいるって聞いてよ!」


「はぁ…呆れた」

「やっぱカノジョほしいし(笑)」


―…バカだわ、コイツ。


そんな私の心情が通じるわけもなく…

ルン♫、と軽やかにスキップをしていった。


「ね、実浬」と凪咲。

「なに?」


「ちょっとモヤっとしたり?」

「ないね(笑)」


「そりゃそうか、納得だわ〜(笑)

 実浬って昔からオジ専だもんさ」


『オジ専』。その通りである。


私がいつも目にするのは…


イケメン…(ハル)


イケメン…(楓)


イケメン…(もろもろ…)


こりゃ飽きるでしょ。イケメン飽きだよ。


「だってそん前、そこらにいる

 工事現場の髭はやした男に惚れてたし笑」


「なんか哀愁感じたわ(笑)」

「「ほんと好みがナゾだわ〜」」


「でも一時期、朱藍先輩と付き合ってたよね」

汐ちゃんが複雑な表情を浮かべる。


「もう朱藍はアメリカだし、再会もないはずだからさ」

ちょっと悲しいのは、なんでだろ…


やっぱ、私だって恋したいもん。でも、

同級生はもう私の恋の視界にいない。


「憧れるじゃん?」

「ま、頼りになるってりゃなるけどさ」


そーゆーことで、

『オジ専ヒロイン』の恋物語です(笑)


〘キーンコーンカーンコーン…〙

やっば!


集会だわ!!!!!


「体育館シューズ忘れたわ!」

私は気づいてすぐ、教室へ走り出した。


ガラガラガララ…

「あ、あったー!」


よし!行こ〜と思ったその時だった。


コツ、コツ、コツ…

はっきりとした黒髪の美少年が通る。


「え…」

私はその前に…その男の正体を見破った。


「イト?」

う、


懐かしい声色。

会いたくないと願った相手の登場に、


私は立ち止まることしか出来なかった。

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