幼馴染を振り向かせたい!

ぽてち

第1話 ラブコメ主人公始めました

幼馴染がいるラブコメで、お互いに思春期だったり、主人公がヒロインと自分を比べて劣等感を抱えてヒロインと疎遠になったりするラブコメって奴を読んだり、ゲームをやったことがある奴はそれを読んで、やって主人公に対してどういう感情を抱くだろうか?


俺こと新上大輔は、主人公に対して強い共感を覚えると同時に、なんて自分は下らないことに悩まされてきたのかとそう思ったものである。


実際問題、確かに劣等感という奴は馬鹿にならないものだという事を俺はちゃんと知っているのだ。だが、だがしかしだ。そんなことよりも大事なことがあるという事について、俺は知ったのだ。恥ずかしがったり、劣等感を抱えて、距離を置くのは、中学生までで辞めておくべきなのだ。

だから俺は、春、新しい制服を身にまとい、一つの決心を固めていた。

昔の自分とはもう、決別するという事である。

今まで逃げてきたが今日という日をもってそんな自分とは卒業する。

今日からの俺は一味違うという事をあの女に教えてやる。そして絶対に振り向かせて見せるのだ。

俺は劣等感を抱えて、自分の気持ちを偽るなんてのは、馬鹿げているという事を高校一年生になる今日この日にもう知っていた。



──────ここからが俺のラブコメだ









「はぁーーーーーーーー。そんな上手くはいかねぇかぁ……」

「どうした急に?」

「いや、別に人間てのは、案外成長しないし変わらないもんだよなぁって思ってただけだよ。」

季節は五月、もうすでに高校生活が始まってから一か月は立とうとしていた。

その間、俺が何をしていたかを結果的にいうと、なんにもしていなかったことになる。

多少俺だって行動をしたりはしたのだ。だが、どーにも上手くいかない。それというのも……

「まぁお前のよくわからん発言は置いといてだ。聞いたかよ。学園のアイドルこと水瀬美奈子が───」

「また男でも振ったか?」


水瀬美奈子

 俺の幼馴染であり、俺が振り向かせたい相手だ。そして、水瀬美奈子は余りにもモテすぎた。確かに中学生のころからモテてはいたが、高校生になってからは、そりゃもうモテるモテる。男女問わずだ。それで何が問題かと言うと、周りに近づけないのだ。あまりの人気っぷりに親衛隊らしき組織まで存在するから近づくに近づけない。特に女の友人(親衛隊)は常に水瀬と一緒にいるため、学校では、俺のような平凡な生徒は近づくに近づけないのだ。

一人思索にふけっていると、俺の友人であり、今対話中の秋風友康がにやにやと笑っていた。


「なに、ニヤついてんだよ?顔が気持ち悪くなってるぞ」

「うるえぁな!顔は元からだよ!」

まぁ実際そんなに友康の顔は悪くないのだが。

「まぁそれはいいとして普通はそう思うよな。この一か月振りに、振り続けていたからな。家の学園のアイドル様は、だがな、それがだ……………………………………………………………………………」


すげぇもったいぶるなこいつ。ドラゴンボールのアニメかよ。

「とりあえず友達からってことになったらしいぞ!」


「…………………………………………………………………は?」


「すげぇ溜めたな。ドラゴンボールのアニメかよ」

「いや、そんなボケやってる場合じゃないだろ。おい、おい、舐めてんのかよ。お前はよぉ」

「何で俺が切れられなくちゃならねぇんだよ。切れるならお前の愛しの水瀬ちゃんにキレ散らかしとけ。」

「は?別に全然、愛し?とかではないが?何勘違いしてんの?恥ずかしい奴だなぁお前は。」

「なんなんだよ。お前のそのツンデレ風キャラは。現実逃避してるところ悪いがマジの話だぞ、これは。」

「……………………マジ?」

「マジ」



俺のラブコメ開始一か月で打ち切りってマジ?

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