当たり前、に異議を訴える

赤月なつき(あかつきなつき)

自分らしくに異議を訴える

 心の奥に蓋をして、心の上辺にある言葉を無意味に口にしてそれで本当に自分らしくなれているだろうか。


 自分らしく、の定義が難しい。アイデンティティを持って行動する、自分勝手な行動(利己的な行動)をする、ド派手でユニークな格好をする。などさまざまな例が出てくるが、どれも具体性に欠ける。


私はここでは自分らしく=自分の信念からぶれず、考えて行動する。


ということで定義させてもらう。


 信念、と言ったがもう少し砕いて言うと自分の中の価値観に従って行動せよ。と言うことだ。例えばaさんがcさんを嫌いならaさんはcさんを嫌いな人として思って行動する。一方でbさんはcさんが好きでcさんのことを好きな人と思って行動する。


 しかし、この自分らしい行動をしてしまえば、自分は戦いの火種になってしまう。


 なぜか。それは他者と自分の考えが正反対で有れば相手に自分の考えを理解、納得させようと思うからだ。


つまりaさんとbさんがcさんを巡って争い合う。これだけならまだいい。しかしここでcさんが「いや、私はあんたらとは無関係だから」とか、「私はcさんのことが嫌いだからそんなことやめて」などと言ったらどうなるだろうか?


aさんとbさんの争いはどんどんややこしくなる。


それは火を見るより明らかである。だからcさんは何も言わずにその戦いを見守っているのがこの場合、戦いを激化させない最善策である。しかしこれでは自分らしさ、なんてあってないようなものだ。


自分はこう思ってるのに、空気を読んで言わない。

あの人の考えは自分と合わないけど、この辺で一番強いからあの人のそばに居よう。


こう言う考え方は生きているうちに自然に身についていく。それに、世界中の人間が自分のやりたいことをやりたいようにやっていったら今頃地球は無くなっている。


もう少し規模を落とそう。

今現在の私たちにおいて自分の意見を言え、自分の考えを持て。と言うのはそう言う平和的な状態を破壊する兆しではある。

ではなぜそれが今求められているのだろうか。


そもそも、これまで周りに合わせて行動してきたのにいきなり自分の意見を持てなんて無茶を言うな、と思いはしないか?


学校ではクラスの和を乱したら叱られる。周りと違う行動をしたらその子は異端児、問題児である。作品を描いて空の色を紫で描いたらその子はおかしい人間である。そう思われる。だからその子はみんなに合わせて空の色は青色に塗り直した。

その人の作品で、その作品の色使いはその子供が選ぶ権利を持つはずなのに外から文句を言って自分の思う通りの青空を描いた作品を描かせる。


小さな子供ですらその扱いだ。少し大人になった高校生にはそれらをわかった前提で教育をする。指示に従い、行動するのが遅ければ説教、先生の考えを忖度して行動できなければ最悪の場合退学である。


教育とはガタガタの考えを持つ人間をセメントで固めて整える作業のことである。


そしてセメントで固まった扱いやすい人間が立派な大人である。


そしてその大人は周りに質問をされたら、求められた解答をし続けて大出世をする。世の中なんてそんなもの。



それで自分の意見を言え、なんておかしな話だと思わないだろうか。しかも日本ではあまりに見当違いな考えを述べると、ネットでは大炎上である。常に周りを見て、言葉を選んで、自分の意見を言うのである。


しかしその行動すらも今ではビビリ、チキン、なんて罵られる。いい加減うんざりではないか?なんでも話せるはずだったネットでは規制がかけられて現実では周りに気を配って話をする。


そんな生活を送っていたら人間は灰になる。何に対しても無気力になる。


だから、少し力を抜いてみないか?


流石に所構わず自分を押し倒すのは、あまりにも勝手が過ぎると思う。だが、周りの意見を聞いて自分の好みや趣味と言ったものに基づいて否か応かを決める。そのぐらいで十分だと思う。だから何かを押し付けられそうになった(またそう言う空気になった)ら、自分が納得できる形に相手を説得してみよう。そのために周りの人がいて、相談すると言う手段があるのだから。


 これは本当に単純なことだ。きっとこのことを思ったことがある人もいるだろう。だが、この単純なやり方で有ればこそ、今の生活が少しでも楽になるのではないだろうか。


 私は周りの意見で振り回されているあなたにこそ、この自分の納得できる形にする、妥協も少しの状態にする、考え方にする。


一番いけないのは自分の不本意で他人に流されることで、自分の望む形で有れば他人に流されてもいいのではないかと、あなたに提案したい。


納得できれば、それでいい。



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