帝都と大罪

蝸牛

プロローグ

 仙波博己は憤っていた。

 憤怒の名を持つ怒りっぽい指揮官ですら引くような憤りっぷりだと、個人的には思っている。博己は傲慢以外の指揮官を知らない。何故ならまだまだ下っ端だからだ。

 でも多分怒りっぽいんだろうという想像で言っている。偏見でものを言うのはダメだと思うがそれも気にしないほど憤っていた。


 バァン!


 目的の人物がいる扉を勢いよく開く。

 その相手はさして気にした風もなく、まるで来ると予想していたかのように――実際は荒々しく立てていた足音で気付いていたのだが――表情も変えない。


 そんな相手の無愛想さは今に始まったことじゃない。博己はもはやそれに構う気もなかった。

 そんなことより、そんなことより―――


「筆記テストって、どう言うことですか結城隊長!!!」

「その胸に聞いてみろばかものめ」


 帝都は今日も平和です



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