第11話 可愛い魔物?

レベル二桁に到達、新たな魔法とスキルを入手した俺の戦闘力は大幅アップした。


森に入るとまずはサード・アイで魔物を早期発見、遠距離からフォトン・ブラストを叩き込む。


続けて新魔法のアイス・バレットで氷の礫を浴びせかける。



ほとんどの敵はこれでしとめられるが、接近を許した敵にはファイア・ジャベリンで止めを刺す。


防御はプロテクション・スフィアのおかげで、完璧である。


攻撃魔法の3コンボとプロテクション・スフィアで俺の戦闘スタイルは揺るぎないものとなった・・・と思う。



もはやブラッド・ベアも敵ではない。俺は書庫から離れてかなりの範囲を探索、獲物を狩りまくった。


その結果、レベル10になってから6日程で早くもレベル15に到達した。




トントンとレベルアップを重ねて、気分良く狩りを進めていた俺は、その日とある奇妙な光景に遭遇した。



ふとサード・アイの感知した目標に違和感を感じて、確認して見ると、魔力の大きな反応と小さなのが近づいたり、離れたりしている。



不思議に思って現場まで行ってみると、巨大な木から伸びた蔓に子犬?のような小さな魔物が捕まっている。


絡みついた蔓から抜け出せないらしい、蔓を噛み切ろうとしているが、小さな牙では文字通り歯が立たない。



どれくらい闘っていたのだろう、疲れ切った小さな魔物の動きがだんだん鈍くなって、ついにはぐったりと動かなくなってしまった。



すると捕まえていた木の幹に大きな口のようなような穴が現れて、小さい魔物をを飲み込もうとする。


この大木も魔物の一種、トレントだったのだ。



俺は慌ててフォトン・ブラストを、起動するとトレントに向かって放つ。


だが巨大な木の魔物だけあって耐久力もかなりあるようだ、光球を全部ぶつけてもこたえた様子はない。


逆に、木の蔓をこちらに伸ばして攻撃してきた。


蔓をムチの様に使ってバシバシと打ち付けてくる。


かわすのは無理だが、幸いプロテクション・スフィアを破るほどの威力はないようだ。



木の弱点といったら、当然炎だろう。


接近して木の幹に、ファイア・ジャベリンをお見舞いする。



GYAAAAAAAAAA!



炎に包まれた敵は、もの凄い悲鳴を上げて捕らえていた魔物を放り出したので、あわててそれをキャッチする。


トレントは大き目の魔石を残して、燃えカスになった。




助けだした魔物をよく見ると、真っ白な子犬くらいの大きさで地球で言えばシベリアンハスキーに似ているかも。


特徴といえば、額に半透明な魔石のようなものが浮き出ている。


ぐったりと俺の手の中で気を失っているが、とても可愛い。


魔物として退治するなんて、とてもできそうにない。


どうしたものかと悩んだが、とりあえず俺は、正体不明のこの子犬を書庫に連れて帰ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る