第6話 新魔法習得

「魔石から得られた成果が、100Pを超えました。

第一階梯の魔術書と交換できますよ。」


四日目の狩りを終えて、書庫に帰還した俺の成果を確認すると、エクレールが獲得したポイントで交換できる魔法のリストを見せてくれる。


100Pは第一階梯でも最も安い種類の魔法としか交換できないが、メイガスになって初めて自分で魔法を選ぶことができるのは嬉しい。

フォトン・ブラストはエクレールからの就職祝いだったし。


俺はワクワクしながらリストをのぞき込む。


選択肢は3つ


○マジック・ミサイル


○サード・アイ


○アクセル・ムーブ(Tier1)


マジック・ミサイルは説明不要だろうRPGでも基本中の基本の攻撃魔法。

複数の魔法の矢が、標的を自動で追尾する。

威力は小さいが、とても扱いやすい。


サード・アイは、探査(サーチ)系の魔法で、その名の通り頭上に小さな魔法の眼が現れて周囲を監視してくれる。

索敵距離はそれほどでもないが、魔物の魔力に反応するので藪や木の陰に隠れていても感知できる。

最安値の魔法にしてはなかなかの高性能だ。


アクセル・ムーブは行動速度を上げてくれる。

行動速度は、戦闘以外でもあらゆる状況で重要な要素だ。

一見する強力な魔法に見えるが、「Tier1」というのが曲者。

「Tier」とは魔法の威力を表している。

1は最低値で2、3と数値が上がるほど強力になっていく。

「Tier」の設定された魔法は習熟度で威力が上がるわけではなく、さらに上の階梯で「Tier2」「Tier3」というように同種の魔法を取っていくことでのみ強化できるとのこと。


色々と考えたが俺はサード・アイを取得した。


現時点でフォトン・ブラストだけでも攻撃は充分、通用する。

というよりマジック・ミサイルはどう見てもフォトン・ブラストの下位互換だ。

取る必要はないだろう。


アクセル・ムーブにも引かれたが「Tier1」で上がる速度は一割にも満たないらしい。

元々AGIがほとんどない俺にとっては、ほとんど雀の涙ほどの効果しかないだろう。


そうであれば敵から不意打ちを避けるためにも早期発見が必要だ。

実際、木の陰や藪から突然、魔物が出てきて驚かされた事が何度かあったのだ。


サーチ系魔法はパッシブとアクティブの二系統で使用できる。

パッシブにしておけば、、休憩中でも常に自分の周囲を監視しておける。

多少のMP(180)を常時、予約消費するが、MPだけはたっぷりとあるので問題ない。


サード・アイで隠れている魔物も楽々発見、射程距離に入ったらフォトン・ブラストでやっつける。

より安定感の増した俺の戦闘スタイルは、なかなかどうして捨てたもんじゃない。

6日目の日が暮れる頃には、俺はレベル5に達していた。


職業 メイガス

LEVEL 5


HP 8

MP 3870 


STR 10 

VIT 10 

INT 387 

AGI 10 

WIS 10 

LUC 18 


HPは相変わらずひとケタだが、MPは4000近くまで増加。

ここまで苦戦した闘いもなく、遭遇した魔物は全て一撃で撃退、一度たりともダメージを負ったことはない。

まあ、一発でもくらえば終わりなんだけどね。


そしてここまでゲーム感覚で、順調にレベルアップしてきた俺にある思いが、芽生え始めた。

もしかしてオレ、強いんじゃね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る