四月 朝方

集会が終わった後、皆で並んで体育館を出る。一組二組と教室へ歩いていく。

俺も列に入って、うずくまって泣きたいという思いを殺して、必死に足を動かした。

そしたら、先生が俺の肩に手を置いて。

「ちょっと、列抜けろ。な。」

って、優しかった。優しい声、笑顔。

四組までが体育館を出て、広い体育館には俺と先生だけだった。

「いつまで我慢してんだ?もう誰もいないよ。泣いていいよ。」

俺は途端に涙が止まらなくなって、そんな俺の背中を先生は撫でてくれた。

懐かしくて。ヨシが撫でてくれてるみたいな。懐かしい感覚。

チャイムが一度鳴って、俺の涙が乾いた頃に先生が温かい声で話し始めた。

「ヨシはお前の事が大好きだったよ。ごめんな。ヨシを守れなくてごめん。」

「先生は何も悪くないです。」

「違う。俺が悪い。俺がヨシを殺したんだ。俺がヨシの辛さに気付いてやれれば。」

「そんな事を言うなら、俺もヨシを殺した。だって俺は、誰よりヨシに近い場所に居たんですから。」


「先生。俺も死にたいです。」


俺はいつの間にかそんな事を言ってしまっていた。

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