四月
「「っしゃぁぁぁぁああ!!!!!!」」
「おい!そこ、うるさいぞー」
「「あ、すんません…」」
クラス替え…一年の充実度を大きく分ける。
それに、成功する確率は、俺にしてみれば低い。
なぜなら、俺に友達と言える友達は、ヨシしかいないからだ。
それは、きっと、ヨシも同じ。
そして今、俺達はその究極の運ゲーに勝ったのだ。
声なんて出るだろ。
気分がいいから、帰ったらゲームをしよう。
え?気分が悪くてもゲームするだろって?
今は気分がいいので黙っててください。
まぁ、とりあえず。この一年、つまらなすぎて、思い出0って事は無さそうだな。
明日、新一年生が来る、入学式がある。
俺の仕事はほぼない。
会場のちょっとした準備だけだ。
でも、ヨシは仕事があるみたいだ。
一緒に帰れなくて、寂しい。
ちょっとずつ後ろを見て、ゆっくりとぼとぼヨシを待ちながら帰る。
久しぶりに一人で帰る帰り道は、何故だか少し、空が綺麗に見える。
あの日以来。俺がミスった日以来の一人下校。そう思うとまた、あの日の事が蘇ってくる。
ヨシは俺にソロの事について教えてから、俺を良いところに連れて行ってやると言い、誘ってくれた。
そして、ヨシが見せてくれたのは、藤咲市民会館裏の桜。それは見事に綺麗なもので俺は今でもその景色を忘れない。
ヨシは、桜を見ながら泣き続けた俺に、次があるって言い続けてくれたっけ。
本当にヨシは良い奴だ。前だけ見て突っ走ってしまう俺を落ち着かせてくれるのは、いつもヨシ。最高の仲間で友達で、ライバル。
ヨシが居たから、俺は今まで吹部を続けてこれた。このまま、卒業までずっと一緒。
そう、思ってたのに。思ってたのに。
そのニュースは突然、ヨシのお母さんから。どうして。どうしてこうなったのか。もう何もかも分からない。
ヨシが…学校の屋上から…。
もう信じられないというか、本当に訳が分からない。理解が追い付かない。
でも……次の日の朝、ヨシは待ち合わせ場所には来なくて。ヨシの机は空っぽで。
先生は何故かスーツを着ていて。
一時間目から、臨時学年集会とか。
体育館には、ヨシだけが、居なかった……。
スーツを着た先生が前に立って話し始めて。落ち着いて聞いて欲しいとか、無理難題を言い出して。俺は涙が止まらなくて。
でももう、そんな俺の背中を撫でてくれる、
ヨシはいなくて……。
会えるって信じてた……いや、信じてたんじゃない……当たり前だと思ってたんだよ。
今日も会える明日も会える来年も一緒に居るって、ヨシなら……居てくれるって……。
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