過去(1)
ゴールデンフリースの繚花
後に狂乱の女帝と呼ばれることになるマリア・ゴールデンフリースだが、彼女の暴政を早くから予見していたものはいなかった。
無理もない。羊毛帝のいわゆるお手つきの子で、後ろ盾もなく、帝国法に基づく帝位継承順位でも八位にいたマリアが次の帝になるなど、そもそもあり得ない話だったのだ。
まして幼少期のマリアは
羊毛帝もそんな娘のありように感じるところがあったのだろう。マリアが十二歳になるのを待って、帝都サカトゥムから遠く離れた貴族の子弟向けの寄宿学校に通うことを命じた。
その当時帝都では次の帝の座を巡り、熾烈な政争が繰り広げられていた。そのような帝室の闇から汚れを知らぬ娘を遠ざけておきたいという人並みの愛情が羊毛帝にもあったのだ。
もっとも政争のそもそもの原因が、
いずれにせよマリアは帝都サカトゥムのはるか西、ニマオモの寄宿学校の生徒となり、そこで一人の学友を得た。青薔薇の恩寵国の王姫、グレイス・ブルーローズである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます