第35話
「兄さん、まだ打つ手がありますか?」
悔しいことに、無い。詰んだ。
だが、諦めたらダメだと直感が叫んでいる。
勉強している時にすら使わないような全力で、俺は打開策を見出そうと思考する。
その速さは、もはや走馬灯すらも超える!
.......ん?これ待って走馬と―――。
「はい、あーん」
いつの間にか接近していた優衣が、1口サイズにちぎったチョコクロワッサンを俺の口に近づける。
必死に顔を背けるものの、抵抗虚しく俺は二人に犯されてしまった。
「えと、えと、その、ごめんね?」
昼ごはんタイムが終わり、愛奈が俺の前にしゃがんで謝ってくる。ちなみに後ろの優衣はニヤニヤ顔で我関せずとばかりに傍観してる。
…………………………………当事者ァ!
叫びたいのは山々だが、それをしたら俺はどうなるか。分かってしまったので沈黙を貫き通すしか選択肢が無くなっていた。
ただ、正直に言うと
俺は無言で目の前にいる愛奈に両手を伸ばし、抱き寄せることで精神の回復を図ることにした。
嗚呼、柔らかい.......。
俺はそのまま眠りに落ちてしまった
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