『少しだけ』仲が良すぎる兄妹がただひたすら【いちゃいちゃ】するだけ

Hollow

第1話 

「ただいまぁ……相変わらず図書館が広かったわ……」

 ぼやきながらドアを締めて、後ろ手に鍵をかける。アパート特有の少しだけ高めの軽い施錠音が玄関に響いた。



「おかえり〜」


妹がリビングから出てくる。


 少しだけ赤っぽいピンク色のエプロンを制服の上からかけた姿を眺めながら、家に帰ってくるタイミングに頭の良さが出るなぁと思った。






 ――俺が口を開こうとすると、それよりも早く妹が声を出した。





 「ご飯にする?お風呂にする?……それとも、ワ・タ・シ?」

「妹でーーー!!!!」



 一言一言に、左右に首をこてん、こてんとしながら伝説のセリフを言う、ここまでかわいい妹は、どの三千世界にも居ないんではなかろうか。


妹の名前は、神川愛奈かみかわあいな

俺の血のつながっていない、母親方の娘で俺の妹、正確には義妹だ。


そして愛する妹に現在進行形で飛びかかっているのが、彼女の兄こと神川涼也かみかわりょうや。17歳で愛奈の義兄だ。




 妹は明るめの茶髪で超がつくほどの美少女である。そんな妹にこんなセリフを言われた日には飛び掛かるのも致し方ないものだと言えるだろう。



 「はぁ……少しは欲望を抑えてよねー。もうすぐご飯出来るから手を洗って早く来てね〜」

「ええええええ?!うそん!………わかったよすぐ行く」





……毎日こんな日々である。

これは、そんななんでもない日常を記されたものだ。

・・・・ちょっとだけ妹が好きなだけで、他にやましい物なんて何もない。











・・・はずだ、たぶん。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る