カシコくても二人はバカ

文屋旅人

第1話 とりあえず手違い

「初めましてこれからよろしく」

「こちらこそ初めまして」

 まずい。

 なんかルームシェアをしようとしたら、見知らぬ異性と同室になった。

「えっと、名前は?」

 俺が問いかけると、女性はにこりと笑った。

「湊青江と言います。生まれは八戸、育ちも八戸で帝国大学理学部一年生です。あなたは?」

 なるほど、東北の人か。

「えっと……橘俊太だ。生まれは人吉、わけあって久留米の高校に行っていた。今は帝国大学文学部一年生だ」

 それを聞くと、湊青江と名乗った女は薬と笑う。

「どうやら手違いで私たちはルームシェアになったようです。で、この手違いを軸に家賃を半額にしようと思うのですが、どうします?」

「はは、成程……そいつは面白い」

 要するに、一緒にルームシェアする代わりに金をどうにかして安くしないか、ということだ。

 なるほど乗った。

「んじゃ、交渉は任せた」

「話が分かる方で助かります」

 俺と、女は互いににやりと笑った。

 こうして、俺は奇妙な女と同居というかルームシェアすることになったのだ。




          続く

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