BestFriends
アトリエ
Prologue
世界は巻き戻しや早送りの利かない動画程度に思っていた。
面白くない授業動画、調子に乗ってる連中の詰まらない生態動画。
停止ボタンはない。
停めたければ、元を断てばいい。
このくだらない動画の締め括りには相応しくない程に綺麗な夜景。
あんまり綺麗だから、泣けてきた。
本当は嫌だったのかもしれない。
でも、もう遅い。
大して関心はなかった。
同じクラスの隣の席、それ以上でもそれ以下でもない関係でしかない。
本気で悲しんでる奴がひとりでもクラスにいるとは思えないけど、クラスメイトを失った可哀そうな自分に酔ってる連中なら履いて捨てる程にいるのは確か。
私は……どうだろうか。
特段に悲しくはないけれど、平静では居られてない。
昨日までそこで生きているのを把握していた存在が、今日になって突然に居なくなってしまった。普通でいる方が難しいに決まっている。
でも、それならどうして悲しくはないのだろうか。
ニュースで聞くアカの他人の悲報と同程度としてしか認識していないのだろうか。
だとすれば、その事を悲しく思う。
人の悪意ほどに浅ましく悍ましいモノはない。
現代社会の抱える問題の多くはこの悪意こそが原因である。
そして、今の世はあまりに簡単に他者へ悪意を向けられるような環境が整い過ぎている。ネットやテレビなどはその最たる物。
しかし、一番の問題はそれらを利用する人間の側にこそある。
人は愚かだから、味わったことのない痛みを理解できない。故に簡単に他人へ痛みを与えられる。その様を見て学ぶことはない。
喩え、その相手が痛みに耐え切れず死んでしまったとしても。
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