おっさんが転生したら、寝取られた元嫁と寝取った間男の息子だった件
ウロノロムロ
ワイ、いきなり死んどるやんけ!(怒
中年のおっさん。
ぽっこりおなかで、
近づくとほんのり加齢臭がして
顔も油ギッシュでテカテカしている、
誰がどう見ても
ただただひたすらに果てしなく
中年おっさんサラリーマン。
一泊二日の出張予定だったが、
二日目の予定がキャンセルとなり
日帰りで愛する妻、
お嫁ちゃんが待つ我が家へと
帰路を急いでいる。
ホンマ、出張が日帰りになってよかったわぁ
これで今晩お嫁ちゃんと、ムフフ……
いけるやん!
スマホ電池切れてしもうて
充電も出来んから
お嫁ちゃんには連絡入れられへんけど
まぁこれはこれであれや、
サプライズっちゅうやっちゃ
いきなり帰ってビックリさせたろ
すっかりサプライズというのが
気に入ってしまったおっさん。
「サプライズ~♪ サプライズ~♪」
しまいには鼻歌で
サプライズの歌までつくってしまう。
その無駄な作曲能力は
一体なんなのだろうか。
こういうところが
おっさんらしさ全開なのだが、
本人はまったく気にしていない。
家に着いても
そおっと玄関のドアを開け、
忍び足で中に入って行く。
お嫁ちゃん、今帰ったでぇ、ムフフ……
居間にも台所にもいないお嫁ちゃん。
おっさんが、どこにいるのか探していると
寝室のほうから、なにやら艶っぽい
お嫁ちゃんの声が聞こえて来る。
あかんがな、お嫁ちゃん
ワイがいなくて
よっぽどさみしかったんちゃうか?
早く可愛がってあげないかんがな!
あきらかになにかを勘違いしているおっさん。
なにをどう妄想したらそういうことになるのか。
しかしおっさん、なんの疑念も抱くことなく
お嫁ちゃんの声がする寝室のドアを勢いよく開ける。
「ただいまぁ!
サプライズやでぇっ!
ビックリしたやろっ!」
しかしそこで繰り広げられていたのは
お嫁ちゃんと間男の……
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都合により放送を
一時中断しております。
しばらくお待ちください。
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※無音に思えるかもしれませんが、
環境系BGMが流れております。
その光景を見たおっさん、
すっかり固まってしまって動かない、
まるでメドゥーサでも
見てしまったかのように石化フリーズ。
お嫁ちゃんも間男も
あまりに突然の出来事に
慌てることも忘れ
見事に固まって石化している。
サプライズでビックリさせることには成功したが、
自分もサプライズさせられてしまった中年おっさん。
ぽかんと口を開けたまま
ただただ唖然としてしているばかり。
一体これはどういうこっちゃ?
なんでワイの可愛いお嫁ちゃんが
すっぽんぽんで
中年おっさんはまだ事態を把握出来ていない。
人間予想していなかった
衝撃的な場面に出くわすと
こうも判断が鈍るものであろうか。
というよりは
現実を直視したくない、
理解したくない、
ようは現実逃避したいのだろう。
これはなんかの間違いやろ?
ドッキリかなんかやろ?
ワイを驚かそう思って
手の込んだことしよってからに
企画モノのAVとかそんなやつやろ?
いや、それ余計にあかんやつや!
なんかお前らビックリしとるけど
ワイのほうがよっぽどビックリじゃわい!
なにをお前ら
くんずほぐれず
あぁ〜いい汗かいた
みたいになっとんねん!
Let's enjoy S・E・X!
スポーツでもしてる気なんか?
いやぁ今日はいい試合でしたわ〜
とか言い出すんとちゃうやろな
そうか、あれか、あれやな
全裸プロレスやな
古代ギリシャのオリンピュア的なやつやな……
んなわけあるかいっ!!
しかもなんか困惑してるような顔しやがって、
なんかワイが帰って来たのが
空気読めんやつみたいになっとるやんけ!
中年おっさん、目の前で
なにが起こっているかを
ようやく受け入れると、
今度は沸々と怒りが込み上げて来る。
ワイのお嫁ちゃんが
お・ま・え・ら・あ……
「なにしてくれとんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
怒りで頭に血が上ったおっさん。
血が上ったどころではなく、
叫ぶと同時にプッツン切れた。
おっさん自身にも
ブッツンと何かが切れる音が
確かに聞こえた。
だがこれは比喩的表現でなく、
本当に頭の、脳内の血管が切れた音。
なんか今プッツンって音したけど、
体内でそんな音するとか
それあかんやつやん!
そりゃ健康診断では
血圧高くて、高血糖値、
中性脂肪に、コレステロール増し増しの
不健康トッピングてんこ盛りで
毎回再検査やったけど
おっさん、その場にバタッと倒れ込む。
ワイ、このまま死んでしまうん!?
ここでこのまま逝くんはいやや!
お嫁ちゃんと間男は、
不貞の現場に押し入られ
ただでさえパニックだったのに、
いきなり押し入って来たおっさんが倒れて
二重のパニック。
オロオロ慌てふためいて
正常な思考が出来ず、
もはや自分でも何をしているかわからない。
逃げようしとしていた間男は、
ズボンを膝まで履き掛けてから、
救急車を呼ばなくてはならないと思ったようで、
おもむろに携帯電話を取り出してかけはじめる。
しかしやはり逃げなくてはならない
という意識も強いらしく
ズボンを膝まで履いた状態を右手で抑え、
左手で携帯をかけながら
玄関に向かって逃げようとする。
そんな状態で慌てているものだから、
当然ズボンの裾が足に絡まってすっ転ぶ。
「グシャッ!」
転倒した際に手を突こうとして
思いっきり携帯を床に押し付けて
携帯電話もあらぬ方向に折れ曲がる。
服を着るか、逃げるか、携帯電話をかけるか、
どれかひとつにしたほうがいい。
お嫁ちゃんはお嫁ちゃんで
すでにおっさんが心肺停止していることに
さらにびっくりして
心臓マッサージを施そうとするが、
やはり不貞を隠そうとする意識が強いのか
服を着るのと心臓マッサージを交互に繰り返す。
ブラウスに右手を突っ込みながら、
左手で心臓マッサージをするという
なんともわけのわからない状態。
こういう場合は早期対応次第で
一命を取り留めることも多いのだが、
こんな状態でまともな処置など
期待出来るはずもなく、
おっさんはあえなくご臨終。
このまま逝くんはいやや!
絶対、絶対、自分らの前に戻って来て
シロクロはっきりさせたるからな!
おっさんは最後の最後、
絶命するまでそう思いながら
逝くのであった。
そして、ここがWEB小説投稿サイトである限り、
一話で主人公が死んじゃいましたね、
この先どうしましょうかね?
というのは許されない。
泣く子も黙る特殊部隊がやって来て
半ば強制的に転生させられてしまう、
というのがもっぱらの噂だ。
いやそれは作者の脳内での噂なのだが。
死んでしまった中年おっさんも、
ご多分に漏れず転生することになるのだが、
ここから転生を果たすまで、
これがまた長い道のりをたどることになる。
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