超鈍感主人公は超絶美少女の前幼なじみと現幼なじみの好意に気づかない。

黒猫(ながしょー)

第1章

プロローグ

 ”私、りょーくんのことが好き! だから、将来絶対に結婚しようねっ!”


 夢を見ました。

 昔、私の幼なじみであった”りょーくん”との思い出。あの約束の翌日にりょーくんは、親の転勤とかで他の街に引っ越して行ったのかな?

 なんで今頃になってこんな夢を見たんだろう……と考えましたが、私自身がりょーくんと同じくして、親の転勤で引っ越したから?


「綾乃~! 早く起きないと遅刻するわよ~!」


 一階の方からお母さんの声が聞こえてきました。


「は~い、今準備するから~!」


 まだ眠気が残っていて眠たいですが、このままだと初登校で遅刻してしまうので、仕方なくではありますが、ベッドから起き上がります。

 引っ越してきてまだ間もなく、荷物とか散らかり放題だけど、私は昨日届いた新しく通う高校の制服に素早く着替え、顔を洗うために部屋を出て一階の洗面所へと向かいます。

 顔をパショパシャと洗い、身だしなみを整え、リビングに移動して朝食を適当に済ませた私は……


「行ってきまーす」


 お母さんにそう伝えると、入学式の時みたいにどきどきしながらも新しく通う高校に不安を感じていました。

 ——友達、出来るかな……?

 りょーくんが引っ越した時もきっとこういう気持ちだったんだろうなぁ。

 ところで今、りょーくんどうしてるんだろう……元気、かな?

 もう連絡も取れず、どこにいるか分からない元幼なじみの今がちょっぴり気になったのでした。


 このときの私はこのあと運命の再会をするとは思ってもみませんでした。


 学校に着き、職員室に向かって、担任の先生と少しお話をしてから、クラスの教室に案内されます。

 ドキドキ。

 心臓の鼓動が聞こえてしまうのではないかと思うくらいに高鳴り、緊張のあまり、立っていられるのもやっとです。


「じゃあ、入ってきなさい」


「は、はい……」


 担任の先生の声で私は教室の引き戸をガラガラと開け、みんなが注目している中、教壇の隣に立ちます。

 今日からこの人たちがクラスメイトになるのかなと少しわくわくしながら、全体を見渡していると——


「え……?」


 教室後方部の一番右側の席に、私は一瞬見間違いかと目を疑いました。

 机に頬杖を着きながら、窓の外を眺めている男の子……見間違えるはずがありません。あれはりょーくんです。


「どうした早坂?」


「い、いえ……何でもないです」


 先生の声で我に返った私はこう思いました。

 ……これは運命に違いありません! 私の大大大大好きなりょーくんを神様が引き合わせてくれたのです! これはもしかすると、いろいろな意味でチャンスなんじゃ——えへへ……♡

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