私は一体何を書いているんだろうか・・・?

叶 遼太郎

第1話 ラコニックフレーズの起源

「ウェ~~~~イ、オタク君、見てる~~~~~~~~~www」

「そっちの状況がわかんねえんだけど、この動画見てるってことは、届いてるってことだよねwww」

「当たり前かwww」

「ってことはだ」


「このスマホ、無事発掘されたってことでおk?」

「んでオタク君は元の時代に戻れたってことでオケマル水産? って古いかwww」



「いや~~~~今さぁ、俺っち超ピンチなの。ウケるっしょ? 今までこんなピンチになったの、二股ばれて彼女にチキンアームロック食らって骨脱臼して捨てられた時以来じゃね?」

「なんかさ、ズッ友だと思ってた他のポリスの連中、撤退しちゃったんだわ」

「昨日までウェーイ楽勝ウェーイってパーリィーナイトだったのにね」


「オタク君の言う通り、裏切り者が出たわ」


「俺、バカだからさ、歴史とか、そういうの全然知らなかったんだわ」

「オタク君、何回も進言してくれたよね。裏切り者が出る、情報が敵に漏れる、挟み撃ちにされるって」

「殴って、ゴメン・・・」

「信じられなかったんだよ。信じたくなかったんだ。俺らの中に、仲間裏切るやつがいるなんて」


「オタク君、わかってたんだね。この笑えねえ展開」

「いや、最初から笑えねえ展開続きなんで逆にウケるんだけどね?」

「二十万のペルシア軍の軍勢って何。超ウケるんですけど」

「そんで? 味方はなんか爽やかな汗かいてフィーバーしちゃって普通に軍出せねえって何? わけわかめなんですけどwww」

「こっちの軍勢かき集めても合計五千って一周回って潔くね? 一人四十人倒せば良くね? オタク君の好きなチートで無双すれば良くね?」


「ま、現実にはそんなもんねーんですけど」


「こんなむちゃくちゃな過去に送るんだから、ゴッドもチート能力くらいくれっての」

「あ、でももらってたわ。モテモテになる能力」

「これでゴルっちゃん落としたわ。まぁ、俺もディスティニー感じちゃってたけどね。だからオタク君と一緒に現代に戻らなかったんだけど」


「オタク君も知ってっしょ? マイワイフゴルっちゃんの女神的美貌。そりゃアフロな女神も素足でダンスフロア駆け上がるよねwww」

「知ってる? ゴルっちゃん、俺の子身ごもったっぽいのよ」

「俺さ、ここに来る前、別れ話切り出したんよ。そしたら、そのこと教えてくれて・・・」



「・・・・・・・・・・死にたく、ねえよぉ」



「死にたくねえ、死にたくねえ、死にたくなんかねえよ・・・!」

「けどさ、この時代の占い、信託? 新宅? とかいうやつで、俺が戦って死なねえと、国が、ゴルっちゃんが死ぬんだってよ」

「ふざけんなよ・・・」

「生きて、マイサン抱きかかえて、いろいろ教えてやりてえよ」

「女口説く方法とかさ、俺の武勇伝とかさ、ゴルっちゃんとの馴れ初めとかさぁ・・・」

「ゴルっちゃんと一緒に、成長見届けてえよ・・・」

「ゴルっちゃんと一緒に、生きて、生きて、ずっと一緒に生きて、しわくちゃのジジイとババアになっても、オールナイトでフィーバーしてえよ・・・」

「畜生・・・」



「・・・オタク君さ」

「なんで学生時代、俺がお前のこといじってたか、わかる?」

「お前にとっちゃ迷惑だったかもしんねえけどさ、俺、お前のこと結構気に入ってたんだよ」

「いや、いじりやすいってのもあったんだぜ? これはお前のせいなwww」

「だって反応良いんだもんよ。お前、天然だろ? 言われない? ・・・そんなとこ、彼女そっくりだよ」

「人類皆兄弟って、マジなんだな」

「あ、やべえ、そろそろ時間だわ。クセちーの降伏勧告のお使い来たわ。まあ俺、来て取れば良くね? 取れたらね? 的な感じで啖呵きっちゃったしね~~~www」

「吐いた唾ドントダイソンっつうか。だから俺戦わなきゃゴルっちゃん守れないっての」

「じゃ、行くわ」

「最後に、一つだけ」

「生きてくれ」

「俺の分まで、精いっぱい生きてくれ」

「お前が生きていてくれたら、俺がここで戦った意味があるんだ」

「じゃな」


 


 ギリシアのある遺跡で発見されたオーパーツから判明した新情報は大きく分けて二つ。

 当時のスパルタの文言を短く伝える習慣は王によって生み出されたということ。

 そしてもう一つ。かの偉大な王の血族は、はるか東の地でも懸命に生きているということ。

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