サラリーマンは帰宅途中に立ち寄った「新世界」で異変が起こり「異世界」へ辿り着いてしまった!?・・・前編
サラリーマンは帰宅途中に立ち寄った「新世界」で異変が起こり「異世界」へ辿り着いてしまった!?・・・中編
サラリーマンは帰宅途中に立ち寄った「新世界」で異変が起こり「異世界」へ辿り着いてしまった!?・・・中編
前書き
前編・中編・後編の3回に渡って投稿予定でしたこちらの作品ですが、初投稿から1年以上が経過しております。その続きである今回が中編、そして最終回の後編(明日投稿予定)へと続いて参ります。
前編 https://kakuyomu.jp/works/1177354054894180989/episodes/1177354054894181004
の続きのお話となります。宜しければ前編の方も宜しくお願い致します。
翌日・・・
「結局あの得体の知れない物体は他にも影響を与えとったって事なんか!?」
「あぁ・・・ここ最近不可解な事故が多発している事は昨日伝えたと思うが・・・その件だったのだ・・・」
「でも、私たちも落ちて来ると思って実際何事も無くその物体も消えていた・・・飲み込まれた人がこちらの世界へやって来たと言う事でしょうか?」
「いいや・・・君たちの様に物体に飲まれたと言う事例はこれまでに発生していないよ・・・」
「はぁ?・・・だとすれば犠牲者は俺たちだけって事か?」
「そうなるね・・・これまでの事件の詳細を述べると、その物体が実は街のあらゆる建物を破壊して来たのだよ・・・だから今回は別の何かかと調査に向かった所だった・・・」
「そうなんか!?・・・それはそれで厄介やな・・・」
思いもよらない話に章一は困惑するもこの二つの因果関係をひょっとすると一つの出来事であるのかもしれないと感じた。
「とりあえずここにいても何の解決も出来へんし表(おもて)出て色々と散策してみるわ。一先ずこの周辺も俺らがいた世界と似とるから大体の場所は掴めとるし」
「ダンジョン・・・」
「何や!?如何にもって感じやな!あるんか?」
「無い・・・・・・」
バタン!
「おっさん舐めとんのかぃっ!無いなら一々、あたかも実在しているみたいな口調で言うなや!!思わず新喜劇みたいに倒れてしまったやんけ!!」
「中々筋が良いな!今度是非私にもそのギャグで倒れるやり方を伝授してはもらえないだろうか?」
「うっさい!!こちとら死活問題なんや!さっさと行って来るわっ!・・・えぇっと、み・・・美衣さん・・・ほな行きましょか?」
「う、うん・・・」
少し不安気な面持ちで章一の言葉に返事をした美衣であった。
「とか言ってもラノベとか深夜アニメみたいな異世界って感じとちゃうやろうしあんまり不安にならんでも大丈夫ちゃうかな?ほら、あそこの通行人も俺らの世界の人間そのものやし、ダンジョンなんて無いとかあのおっさんも言っとったから・・・」
見知らぬ地に飛ばされて右も左も分からない二人であったのだが、章一は直ぐ隣にいる普段は頼り甲斐はあるが厳しい女性上司の不安そうな表情を見て少しでも安堵感を与えられたらと自身もよく分からない様な状況の中必死になって美衣を落ち着かせようとした。
「ふふっ♪・・・その必死な顔、落ち着くかも・・・」
「え!?俺の顔が?そ、そうか・・・それならそれで悪い気せえへんな」
章一は普段は眉間にしわを寄せ、自分を叱って来る櫻井上司の表情をまともに見た事がほとんど無く、改めて直ぐ近くにある櫻井上司の微笑む表情を真っ向から見詰めているとこれ程のべっぴんさんがいつも眉間にしわを寄せて叱っているのが勿体無いと素直に感じていた。
「ねぇ、貴方はライトノベルとか深夜アニメとか言ってるけれど、よくそう言うの読んだり観たりするの?」
「そうやなぁ~・・・結構昔好きやってその流れで最近も・・・」
「そうなんだ。オタク趣味なんだね?」
「お、オタクって・・・そこまで深くないわ!!って言うかオタクをバカにすんなよ?オタクの力って凄いんやぞ!?」
「ふふふ♪いいえ、バカになんてしていないわ!本当に凄い力だから・・・熱意・・・そうね、章一君みたいに誰に対しても情熱的な・・・って言ったら喜んでくれるかしら?」
「そんな言い方・・・卑怯や・・・」
章一は口が達者で様々な苦難や周囲の救済などを行って来た経緯があるのだが、自分の上司に対してだけは何故か言い負かされてしまう。
「あの、お熱いカップルさん?少し良いですか?」
「誰がお熱いカップ麺や!ってカップ違いや!!ってあんたさんは?」
話をしながら歩いていると年頃章一と同じ30代くらいの男性が話を掛けて来た。
「ノリ、良いね?ひょっとしてこっちの世界の住人じゃないかなって思ってさ?」
「なっ!何で見ただけで分かるねんっ!?あんた凄いな!超能力者か何かか!?」
「はははははっ♪違うよ。この周辺って大体同じ人しか通らないし、よそ者もほとんど来ないからね」
「そっ!そうなんか?それより今、こっちの世界の住人じゃない?とか言ったよな?何かあんた知ってる事あるか?俺ら昨日こっちに飛ばされてしもうて往生してんねん!」
章一は手掛かりになるかもしれないと思いその男性に話を聞いてみる事にした。
「俺も実はその調査員なんだ。昨日もあの方から連絡が入り、2名の人間があちらの世界から飛ばされて来たと聞いてその調査を開始させたんだ」
「そうやったんか。って事はまだ詳細については何も?」
「残念ながらこれからと言った感じだよ。けれど、これは俺が個人的に思っていた事なんだけど、君たちが飛ばされた要因とそれより前からあった事件なのか事故なのか明確ではないけど、何か共通している様な気がしてならないんだ」
まさに章一が感じていた通りの事をこの男性も感じていたのだ。
だが、どの辺りが共通しているのだろうか?
「俺も実は飛ばされて来てその過去の事件か事故か分からへんけど聞いてみてひょっとしたら同じ因果関係を踏んどるんとちゃうやろか?って思っててん」
「宇宙の原理に近い形の何かかもしれないね。俺も出来るだけ早く解明出来る様に動くからそれまでは辛いだろうけど耐えて欲しいんだ」
「あの・・・私たちも協力させて頂きたいんです」
ずっと黙ったまま二人の話を聞いていた美衣が自分からその様に告げると・・・
「原因物質が何なのか分からない現状で素人に手伝ってもらうのは非常に危険だ。だからここは、我々に任せてもらえないでしょうか?」
「あのおっさんとは全く違う程責任感が強うてしっかりとした人やな!ありがとう。でも、ただ人任せにやっとるだけやと俺の意に反するさかい、ここは俺らに出来る事をやって行きたいと思ってんねん」
目を輝かせながら本心を告げる章一。それを目の当たりにした美衣も強い意欲が溢れて来た。
「一先ず、私たちはこの周辺で手掛かりになる事などを探してみますので、解明の方も宜しくお願いします。私もこの人がいるから安心して行動が出来るんです」
「・・・・・やはり良いコンビネーションの様ですね。分かりました。では、くれぐれも無理だけはしないで下さい。私の連絡先です。何か発見したり異変が生じた時は直ぐにここへ連絡をお願いします。私の名前は和ノ瀬(かずのせ) 章二(しょうじ)と申します。このプロジェクトの所長を務めています。」
「和ノ瀬 章二!?・・・俺と似てる名前やな!?そう言えば顔も結構似てる?」
「ふふふ♪世の中には似た人物が三人いるって言うわよね?」
「名前もか?・・・こりゃホンマにびっくりやで!」
「君も同じ様な名前なのかい?」
「あぁ、そうやで・・・えっとこれ俺の名刺や!」
「ふむふむ・・・和瀬章一・・・なるほど、確かに名前からして同じだな。これは一本とられたな、あははははは♪」
「い、いや、わろてる場合とちゃうで?ドッペルゲンガーちゃうんか?そっ、そう言えば同じ人間同士がこうやって面と向かうと死ぬとか言う話もあるよな?・・・どうしよう?明日俺、いや今日俺死んでまうんちゃうか?」
「ははははは♪それは無いだろう?同一人物じゃないし、そう言うオカルトな話は俺は信じちゃいないよ!」
「あんたは信じとるかもしれへんけど俺は信じる派なんや!!どうしよう・・・こっちの世界で死んでしもうたら俺、元の世界の世話になった人とかに挨拶出来へんやんか!」
ギュッ♡
そう章一が口にすると後ろからそっと優しく抱き締める美衣。
「大丈夫・・・私もいるよ?・・・死なせないから。私も一緒にこの状態から回避出来る様に頑張るから」
「ちょっ!?・・・櫻井・・・さん?」
「む~っ!美衣・・・・」
「み・・・美衣さん?」
「あっ、お邪魔だったみたいだね!じゃぁ、何かあれば直ぐに連絡を!俺たちは引き続き調査に入るから。それじゃ、また会おう!」
「ちょっと、何呑気に油売ってるのよ!?こっちの身にもなりなさい!!調査員としての自覚が足りていないんじゃないの?」
別れ際、大きな声を荒げ説教して来た一人の女性がいた。
「えっ!?・・・さ、櫻井さんが二人?」
「えぇっと、貴方がたが例の・・・」
直ぐ隣にいた自分の上司と瓜二つの綺麗な女性が現れ、思わず大きな声を出してしまった章一、どうやら章二の関係者の様だ。
「こっ!これは、エリア長。丁度、昨夜の事故に巻き込まれてこちらへ飛ばされてしまった二人と遭遇しましたので、例の件について話をしていた所でして・・・」
「ちょっと待ってな?姉ちゃんはひょっとするとこの和ノ瀬って兄ちゃんの上司とかかいな?もしかして名前も・・・櫻とか美とか付くんかいな?」
「あら!?よく知っているわね!そうよ、私の名前は櫻田(さくらだ)美衣子(みいこ)よ?そしてここにいる和ノ瀬 章二の上司に当たるわ?あら・・・そこにいらっしゃる貴女・・・私にそっくり?」
軽い自己紹介をした櫻田美衣子と名乗った女性も目の前にいたドッペルゲンガーの様な状況に流石に驚きを隠せずにいた。
「はい・・・私もこの状況に驚きを隠せませんが、私の名前は・・・こちらです!」
美衣も持っていた名刺を見せ互いにそっくりだと再確認したのだった。
「もう、本当に何度言っても聞いているのかいないのか・・・困ったものなのよ・・・」
「そうよね!ウチの方も調査した所をまた同じ様に最初から繰り返す失敗を何度も何度も・・・」
「や・・・やっぱドッペルゲンガーとちゃんやろうか?」
「そ・・・そうだね、これはドッペルゲンガーか、きっと悪い夢を見ているかのどちらかだよ」
その後数十分程、自身の部下の愚痴を言い合っていた。
部下もグッタリとしながら二人揃って下を向くのであった。
「はぁ~!!スッキリした~♪こっちの世界にも話が合う人がいると本当に気が楽になるわね♪」
「は・・・ははは・・・そりゃようございました・・・」
調査員たちと別れ、歩きながら冷汗をかき「生き生きしとるな・・・ついさっきまでビクビクして俺の腕を掴んどったのに?」と少し現実世界に一瞬にして戻された気分の章一はその様に思っていた。
「そう言えば、今おうた二人は俺たちとそっくりやったけど、俺たちの世界の他の人たちもこっちの世界の人間とそっくりなんかな?ほら、俺の後輩とか、美衣さんの上司とか・・・」
「うん・・・それは思った。これだけ瓜二つの顔と名前まで近いと他の人たちもそう言う感じじゃないのかな?」
「やっぱこれって何かの夢ちゃうかな?俺、最近疲れてたしな・・・」
「夢なら・・・夢だったとすれば、覚めなくて良いかも・・・」
「え?何か言った?」
章一に聴こえない様に呟く美衣であった。
そしてしばらく歩いていると、見慣れた電気街へと辿り着いた。
「おっ!?ここって日本橋(にっぽんばし)とそっくりちゃうん?俺よく休日に行ってたからな、ホンマよく似とるな・・・何か安心感覚えるわ!・・・って、すんません俺つい・・・」
章一がふと我に返った時だった。
「本当ね・・・ここのビルもあるよね!あっちのお店なんてそのままこっちの世界に移って来たんじゃない?ほらほら章一君、あそこソフトマップ、下新電機っぽい家電量販店もあるよ!凄いね!光秀書店まである!」
「え!?・・・あれれ?・・・」
思いも寄らない真実が明らかになった。
美衣もまた、日本橋には詳しい様子であらゆる店舗や道を見ながら章一に意気揚々と伝えていた。
「み、美衣さんも日本橋はよく行くんですか?」
「はっ!!・・・う、ううん、大阪に住む時に家電製品とか一色揃える時に近かったから色々と安くしてもらったりしたから・・・それで・・・」
一気にシュンとしながら頬を染めて答える美衣に章一は・・・
「ははは♪意外やな・・・そんな楽しそうな表情初めて見たんで、てっきり詳しいんちゃうのかな?って思いまして・・・いや、ホンマ楽しいトコなんですよ日本橋って!一日中楽しめる手軽な場所なんですわ!」
「ふふ♪そ、そうよね。これだけお店があれば一日歩き回れるわよね♪」
更に歩きながら話をしていると・・・
「マジかいな!?ここってオタロードやろ?もう、元の世界に帰って来たみたいな気分やな・・・ホンマにここ異世界なんか?」
「えぇ・・・確かに似ているけれど少し違うわね」
「どの辺がです?」
章一も生まれてからずっと大阪で生きて来たが他所から来た美衣でさえも小さな違いに気が付いたその違いとは?・・・・
「ほら、あそこにいる子、コスプレしながらビラ配ってるでしょ?あの制服って見た事ある?」
仕事中の何かを吟味するかの様な鋭い視線を向けている美衣。指されたコスプレをしながらチラシを配っている女性を見詰める章一は・・・
「い、いやぁ~、あれって結構色んな人とか店のビラ撒いとるから覚えてへんな~・・・それより美衣さんって色々と詳しいな・・・ってあれ?美衣さん?」
章一がその様に告げようとしたが既に美衣はその女性コスプレイヤーの元まで辿り着いていた。一体何をしているのだろうか?章一が美衣の方へ歩いて行ったすると・・・
「綺麗な衣装ね?素材もしっかりとしていて・・・ただ、折角可愛い女の子が着ているのに上手く着こなせていないわ?ちょっと着替えとか出来る所に行きましょう?」
「え!?・・・は・・・はい・・・お店の更衣室なら・・・」
「何じゃこりゃー!!」
既に章一の理解を超越していた。
「これでよしっ!もう一度同じ場所で配ってみてくれるかしら?きっと貴女の魅力にメロメロになって寄って来る男子たちが一気に増えていると思うわよ?」
「わぁぁぁ♪ありがとう御座います。これ凄く素敵な・・・ってあれ?これ私が着ていた衣装ですよね?」
「えぇ!ちょっとした部分を変えるだけで女の子は数段魅力を増すのよ?貴女凄く綺麗だし可愛いからちょっとだけでこれ程までに変われるの!だから頑張ってね?」
「でも、この髪飾りは?」
「あぁ、これは貴女にあげるわ。頑張ってね?」
「あ!ありがとう御座います!」
その後、数十分程遠くから様子を伺っていたのだが、直ぐに男性たちが集まって来て、チラシをもらったり写真を撮らせてくれと言う者が溢れかえっていた。
「ちょっ!!ちょっと待ってな?整理するわな?ここへ来て、日本橋とそっくりな街やから歩きながら思い出話を交え、オタロードにやって来た。そしてビラ撒いてる子が多くてそれも元の世界と同じやなと言ってたら美衣さんが微妙に違っている所があると言って、あの子の制服の着こなしをコーディネートしたらあの有様かいな?コーディネーターでっか?美衣さんって?」
「あっ、あら!?私ったらつい・・・こっ!この事は忘れて?ね?お願いだから!」
美衣は急に恥ずかしさを溢れ出しながら顔を真っ赤にさせて両手を顔にあて、俯いた。
「いや、でも意外な真実を知った気分やな?って言っても美衣さん、凄く綺麗やもんな。着こなしもちゃんとしてるし・・・まぁ、頷けるっちゃ頷けるんやけど・・・」
「ちょっと!そこの女性の方?」
話をしていると後ろから声を掛けて来た一人の女性がいた。
「え?私の事ですか?」
「はい!貴女、この後開催されるコスプレコンテストに参加なさいませんか?」
「はい?・・・わっ!?私がですか?」
「えぇ!貴女なら確実に盛り上がるでしょう!」
突然、コスプレコンテストのスカウトに遭ってしまった美衣。
すると、恥ずかしそうに美衣は答えた。
「お、お気持ちは嬉しいですが私たち今大事な探し物をしているので・・・」
「ええやん!受けてみたら?」
隣から快く了承する様な言葉が出た。
「え!?・・・で、でも私たちは・・・」
「これだけのべっぴんさんや!コスプレしたらすんげー事になるに違いないわ!」
自信満々にそう答えた章一はどこか誇らし気な表情だった。
「ほらほら、彼氏さんが言っているくらいですから間違いありませんよ♪衣装は選んで頂ける様にご用意していますからあちらへ♪」
そして会場へ連れて行かれた美衣。
「それでは、皆さま、大変お待たせ致しました!只今よりライトノベル累計発行部数1000万部突破!アニメも大絶賛放映中、そして遂に劇場版も公開発表されました「異世界大万歳!これが俺とお前の生きる道」の公式コスプレコンテストを開催しま~す!皆さんは後程誰が良いかを判定して頂く重要な審査員も担って頂きます♪優勝者にはすっご~いプレゼントもご用意しています!最後まで楽しんで下さいね!皆さんにも抽選で豪華プレゼントもご用意しています♪じゃぁ、1人目の方から順番に登場して頂きますね♪」
(「異世界大万歳!これが俺とお前の生きる道」って俺らの世界でも似たタイトルで大ヒットして社会現象まで起こしている作品やんか!ホンマどこまで似とるねん!?それにしても皆盛り上がり過ぎやろ!?こう言う場所はあまり足を踏み入れた事無かったから新鮮やねんけど・・・)
「それでは1人目の方は、幼女アルフィーのコスプレですね?」
「はい・・・お兄ちゃんたちをメロメロにしちゃうぞ?」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!
「これは凄い破壊力でしょうか!!こちらにいらっしゃる全てのお兄ちゃん、きょうは1発目から昇天状態ですね♪さぁ、続いては・・・」
こうして順番に登場人物のコスプレを披露して行く参加者たち・・・
「さて、コスプレ大会の方も遂に最後の1人になりました。ここで私、MCからのとっておきの方をつい先程この地で見付けてスカウトして来ました♪レイヤー歴早数年・・・自分のレイヤーとしてのプライドもありましたが、街へ出て一目惚れしたとても素敵で綺麗な女性を見付けたので作品は知らない様でしたが、軽く作品の概要などをご説明して直ぐに把握して下さいましたのでここでメインヒロインであるサーガのコスプレに身を包んで登場して頂きます♪それでは最後の1人、レイヤー名はシルフィーさんでサーガに登場して頂きましょうどうぞ♪」
こうして紹介されて登場した瞬間、会場内の空気は一変してとてつもない熱気へと豹変したのだった。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!サーガ!!!サーガ!!!サーガ!!!サーガ!!!」
鼓膜が破れそうな程の熱狂的な声に堂々と登場したのはつい先程まで自分の隣で歩いていた女性とはかけ離れた存在であった。
「う、嘘・・・やろ?・・・あれ・・・美衣さんなんか?」
一人だけ場に取り残されたかの様にボソッと声を出した章一。
何よりこの様な状況に戸惑いすら無くこの様な状況が当たり前であるかの様に登場した美衣もとい、サーガのコスプレをしたシルフィーは登場早々・・・
「悪しき怪物(モンスター)はこの私が成敗してあ♡げ♡る♪流浪のサーガここに見参♪」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
どうやら知らない作品であったとしても順応する早さはぴか一である様子だ。
「何や!?この作品のパンフ見とるけど、そっくりちゃうんか!?どんだけ適合しとるんや!?あの人?」
序盤から終盤に掛けても自分が見た事の無い世界に圧倒され続けて来た章一ではあるものの今、目の前に輝かしい姿を披露している女性にただただたじろぐばかりである。
「さぁ、審査・・・と言っても投票制なのでコメントを添えてどの子が一番あなたの心に残ったのか書いて下さいね♪」
こうして投票が終わり、いよいよ開票と優勝者の発表会へと移った。
「さて、先程投票して頂きました皆さんの投票結果を発表したいと思いま~す♪レイヤー参加者200名、予選を勝ち抜いて来たきょう参加の20名、そしてきょうは原作者、イラストレーターの先生方、ご協力を賜りまして誠にありがとう御座いました。それでは第一回、異世界大万歳!これが俺とお前の生きる道、公式コスプレコンテスト、先ずは審査員特別賞の発表です」
こうして順番に発表に移り・・・
(まさかな・・・流石に皆綺麗やったし、そんな都合良く美衣さんが優勝するとかあり得へんよな?)
心の中でその様に囁きながら遂に優勝者の発表がされようとしていた。
「それでは、いよいよ優勝者の発表に移らせて頂きます。皆さまからの投票数第一位、発表致します。第一回、異世界大万歳!これが俺とお前の生きる道、公式コスプレコンテスト優勝は・・・」
(何や何や!?俺、手足震えとる?こんな緊張感生まれて初めてや!?いや、上司に、美衣さんに叱られている時とよう似とる?)
冷や冷やしながら手に汗握りただひたすら優勝者が誰であるのかを今か今かと待ち侘びていた章一。そしてMCの口から名前が出たのであった・・・
「サーガのコスプレをしてくれたレイヤーネームシルフィーさんで~す♪おめでとうございま~す♪」
「嘘や!?・・・マジかいな!?・・・うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
会場内の熱気に溶け込んだ様に章一は大きな喜びの声を上げていた。
「おめでとうございます♪全く知らない、突然声を掛けたのにこれ程までに馴染んでいる人は正直に言って私が見たり憧れていた人たちでも見せてくれなかったです。本当に素晴らしいレイヤーさんです。貴女はレイヤーでは無いのですか?」
「あ、ありがとう御座います。私は・・・秘密です♪」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
「最後までサーガを演じてくれてありがとう♪そうです!サーガの口癖はいつも個人的な事に干渉されると必ずこの様に「秘密です♪」って答えるんですよ!本当に貴女は才能があるなと私は感じました。良ければ私たちの様にレイヤーとして活躍してみませんか?」
「え、えぇっと・・・気持ちは嬉しいのですが・・・少し色々とあって・・・今は・・・」
(そりゃそうやな?こっちが元の世界なら確実にお薦めする程合っとったわ!でもここは異世界になってまうからなぁ~・・・っと、元の世界に戻ったらやればええんとちゃうか?きっとこっちでバカウケしとるくらいやから元の世界でもバカウケするやろ?)
「いやぁ~ホンマ凄かったな!」
「本当に・・・熱狂が凄くて私も緊張したわ・・・」
「嘘やろ!?ものすご~馴染んでたし、知らへんはずの作品をあたかも知り尽くしていたみたいな感じやったで?」
「そ、それは・・・ま、まぁ、事前に説明受けてたからね・・・ある程度のキャラクターの知識は入れておいたんだけれど・・・」
「凄過ぎでしょ!?あの短時間でどうやってあそこまで知り尽くせる・・・いや、美衣さんなら十分にあり得るか・・・仕事もそうやもんな・・・流石美衣さんやで!」
「そ、そんなに褒めないでよ。私だって物覚えは良い方じゃなかったんだから・・・」
「またまた~、謙遜し過ぎでしょ!?」
こうして時間は夕方になり、異世界に飛ばされた原因を全く掴めずにいた二人だった。
「あちゃ~、もう夜になってもうたで?どうしよ?またおっさんの家に寄せてもらおうか?」
「さっきのレイヤーコンテストの賞金があるし、この辺りにホテルがあるかもしれないからきょうはそこに泊まりましょうよ?」
「い、いや、でも、折角の賞金やし、ホテルとか勿体無いやろ?やっぱおっさんの家に頼みに・・・」
ギュッ!!
突然黙り込んだまま美衣は章一の服の袖を掴みながら・・・
「私と一緒じゃ・・・嫌?」
「え・・・えぇっと・・・俺でも良いの?」
こうして近くにあったホテルの一室に泊まる事となった章一と美衣であった。
「えぇっと、ホテルって言うからシティーホテルとかビジネスホテルをイメージしてたんやけど・・・ここって・・・」
「そんな高いホテル泊まれる程の賞金じゃなかったから・・・まぁ、私たち大人だから大丈夫よ!」
「い、いや・・・大人とか子供とか言う問題やないと思いますケド・・・」
「私、シャワー浴びて来るから、悪いけど少し待ってて?私が出たら章一君が入って?」
「は・・・はぁ・・・分かりました」
美衣がシャワーを浴びている間、落ち着かない様子で待っていた章一は突然携帯電話が鳴る音に体をビクッと跳ねて携帯を眺めた。
「何や驚かせるなよ!美衣さんの携帯か。アラーム?8時・・・って朝と夜まちごうただけか?ちょっと止めなあかんし・・・ここか?俺のスマホと大分違うな。次世代か?ここが・・・ってあっ、止まった。最近の携帯ってこうも進化しとんのか?俺もそろそろ買い替え時か・・・ってこれ動画?・・・待てよ?これって・・・」
美衣の携帯のアラームが鳴ったのを止めようと美衣の携帯を触っていると動画のアプリケーションを起動させてしまった様で、そのアプリの動画を観てしまった章一は更なる驚くべき事実を知るのである。
「おぃおぃ、待て待て!?これって美衣さんやんな?これってコスプレやろ?さっきのとちゃうし、もしかして?」
「ごめんね?お待たせ!章一君入って・・・って何してるの!?」
「い、いや・・・これは・・・ちゃうねん!」
「女の子の携帯触ってるって・・・最低!!」
「ちゃうねん!!これには訳があって・・・って何如何にもな言い訳しとんねん俺?」
「それ・・・動画だよね?・・・観た?」
「え、あ、えぇっと・・・これは・・・美衣さん?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ご・・・ごめん・・・なさい・・・俺、そう言うつもりじゃなくて・・・」
「ぷっ・・・ぷぷぷぷぷ♪」
「え?・・・・何?・・・」
「びっくりした?アラームが鳴ったでしょ?8時に?」
「う・・・うん、それで慌てて止めようとしたんやけど・・・」
「どうだった?私のコスプレ?」
「もしかして?いやもしかせんでも仕向けた?」
「もう、その怯える子犬みたいな表情が堪らなく可愛くて・・・ごめんなさい・・・」
(あっ、この人ドSや・・・間違いあらへん!)
「じゃぁ、これって美衣さん?」
「えぇ、私よ?貴方だから教えてあげる♪私はね?レイヤーやってるの。元の世界では、動画サイトにも色々と投稿しているレイヤーでイベントにも出てるわ。幻滅したかしら?本当の私の姿を見ても貴方は私の事を同じ様な目で見ていてくれるかしら?」
「い、いや・・・何て言うか・・・似合い過ぎてて・・・この動画のコスプレってさっきの作品と近い俺たちの世界の大人気のアレやんな?」
「やっぱり知ってるんだね・・・そうだよ。サーラのコスプレで、私が最初にレイヤーとして披露したキャラなの。私が憧れていたキャラクターであり、私の人生を動かしてくれた大切なキャラクターなの」
「それで・・・あんな態度で・・・」
「全部が全部彼女を真似した訳では無いわ。私にもちゃんと私の自身の性格もあるから・・・」
「確かにそれを言われて納得出来た・・・サーラは強い女の子や!自分で努力して、相手を立てようとして必死になって・・・その主人公にお説教しながらもずっと一緒にいて、最終的に主人公を成長させて自分もその主人公に恋をする・・・凄くしっかりとした作品や!」
「そう・・・だよ。だから私は・・・ずっと・・・」
「え!?・・・まさか、その相手って!?」
「ごめんね?賞金を貰った瞬間、ここへ訪れて・・・と言う一連の流れが頭を過ったの。だから・・・ね?」
「は・・・はい・・・そんなに考えてくれていたなんて俺・・・」
こうしてこの日の夜は新世界・異世界の事は考えず互いを愛し合ったのである。
「おぃ、ちょっと待て?それやとそう言う流れやったのかって思われてまうやろうが!?ちゃんと普通に一夜を明かしたって言えよ!」
「え?愛し合ったでしょ?私たち♪もうそれはそれは激しくお互いを貪り合って・・・うふふ♪そ♡し♡て?」
「ちょっとタンマ!美衣さんまで乗ったらアカンやろ!?俺が間違ってるみたいやんけ!!」
「ってなって欲しかったんだけど、予想以上に章一君は優柔不断だったわ?」
「それもちゃうから!!異世界来てるんやし落ち着いてもいられへんやろ?」
「じゃぁ、帰ったらいいのね?ちゃんと録音したから嘘はつけないわよ?」
「意外とやる事コスイっすね?上司やのに?」
と言う事で気を取り直して、異世界生活2日目も特に状況の変化もなく過ぎて行ったのだが、この後自体は急転直下・・・になるのだろうか?
後半(最終回)へと続くのである!
中編 終幕・・・
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