【恋愛】「掬い上げる」「パスポート」「堕ちる」
幼い頃、近所のいじめっ子にからかわれて泣いていたら、颯爽と現れて助けてくれた。
なかなか自転車に乗れなくて諦めかけていたら、できるようになるまで手伝ってくれた。
テストの点数が悪くて落ち込んでいたら、一緒に宿題しながらわかりやすく教えてくれた。
部活の試合に負けて悔しがっていたら、黙って缶ジュースを奢ってくれた。
初めて好きになった人に告白してフラれた日は、気が済むまで話を聞いてくれた。
親に反抗して隠れて煙草を吸っていたら、自らもそれを咥えて上手く吸えずに
進路に悩んで毎日のようにため息をついていたら、いつの間にか隣に来てきらきらした表情で自分の夢を語っていた。
慣れない仕事に疲れきっていたら、強引に外に連れ出したくせに結局は自分の方が楽しんでいた。
つき合っていた人に浮気をされた時は、誰よりも怒った後で「お前は見る目がない」と説教された。
そしてヤケ酒を
時に手を引き、時に背を押し、時に叱咤し、時に発破をかけて、ずっと共に在ってくれた。
どんなに自分を見失っても、どれだけ精神が堕ちきっても、そのたびに暗闇から掬い上げて、本来の私に戻るためのパスポートを渡してくれた。
いついかなる時も明るく照らし、その光に救われ続けていたことに気づいた時、私のほしかったものはここにあったのだとようやくわかった。
そんな太陽のような人と、私は今日、結婚する。
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