元ネタ古文 ★古文・現代語訳・解説★

がくまるい

1.刑部姫「はりまの国池田三左衛門どの煩の事」

今回の題材は「刑部姫」、アプリゲームFateGrandOrderで登場し知名度が上がってますね。ゲームでの刑部姫はひきこもりのお姫様として描かれています。


刑部姫は、姫路城の天守閣に住み着いた城化物で、姫路の地主神として祀られた妖怪です。


今回読む『諸国百物語』の「はりまの国池田三左衛門どの煩の事」は、刑部姫の伝説が生まれた契機となった、城主が病に倒れた時の話です。

(1677年:4代家綱の時代)


元々、山では土地神の「刑部大神」を祀っていましたが、1580年、秀吉が姫路城を築いた際に、町外れに移しました。しかし、1611年当時の姫路城主・池田輝政が病に倒れると、刑部大神の祟りだと取り沙汰され、神を元の場所に戻し、姫路城に祀ることになりました。


自然に対する畏怖の象徴として妖怪はよく描かれます。そして、自然を壊すことで神が怒り、祟りが起こる、という考えも典型的です。神と妖怪は紙一重なんですね。



読むと、唐突に僧が死んで終わります。お話として大丈夫なの?と思うかもしれませんが、これは諸国百物語の特徴です。


悪いことをしたから罰があった、という話は教訓的な「説話」のパターンです。しかし、諸国百物語は、全国各地でその地に伝わる不思議なお話を集めた、というもの。教訓性を排し、ただ不気味で恐ろしいことを狙って作られています。


諸国百物語に載る話は他の書物でもよく登場しますが、内容や表現が微妙に変わってきます。時代や地域で伝承が変わるだけでなく、書物の性質によっても内容や表現が変わるのです。


(「はりまの国池田三左衛門どの煩の事」現代語訳・古文につづく)


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