バレンタインの贈り物
勝利だギューちゃん
第1話
《やあ、元気?》
「元気に思うか?」
《相変わらず、冴えない顔してるね》
「悪かったな。生まれつきだ」
《そう?子供の頃は、可愛かったよ》
「同い年だろ?」
《元が、付くけどね》
久しぶりに会った、幼馴染の女の子。
りなちゃん。
苗字は、嫌いらしい・・・
元同い年というのは。理由はひとつしかない。
僕は、りなちゃんよりも、ふたつ歳をとった。
今日は、久しぶりに会い来てくれた。
「何でまだ急に?」
《明日は、何の日だ》
「バレンタインか?」
《うん。そうだよ。だから来てあげた》
「その心は?」
《彼女、いないでしょ?》
相変わらず口が悪い。
まあ、見ているから知ってるか・・・
《だから、明日は一緒にいてあげる》
「頼んでない」
《照れない。照れない》
「照れてない」
向こうでは、することないのか?
どういう生活をしている?
生活というのも、変だが・・・
「そういや、りなちゃん意外から、もらったことないな」
《叔母さんや、妹さんは?》
「断ってる」
《なんで?》
「嬉しくない」
そう・・・
余計に惨めだ・・・
「で、何をくれるんだ?チョコは無理だろ?」
《うん。昨年は裁きを受けていたから、来れなかった》
「何の裁きだ?」
まあ、言わなくてもわかるが、ここに来ると言う事は、いい世界なんだろう。
《今年はね・・・》
りなちゃんが、僕に振れると、僕の魂は抜けた。
「りな・・・ちゃん・・・」
《私の世界に、一日だけご招待》
「その心は?」
《君が本当に死んだ後、私と同じ世界に来てくれるため。その為の下見》
「そのまま、いるのは?」
《まだ、やり残したことがあるでしょ?》
「ああ」
《私が、叶えられなかった未来、君には叶えて欲しい》
「それから?」
《たくさん。お話を聞かせたもらうんだ》
もし、生きていたら世話女房になっていた気がするが・・・
《あっ、見ているから、手抜きをしたら。すぐにおしおきするからね》
バレンタインの贈り物 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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