第71話 とうとうベトナム人彼女から悲痛のメッセージが届いた

 日本人男性の私は「YouTubeの広告収入で潤うベトナムのアーティストたち 」の記事を読んだ。


 ベトナムのアーティストと呼ばれている芸能人の生活は大変みたいだが、YouTubeのおかげで生活が楽になった旨のことが書かれていた。


 日本でも生活が苦しく、売れないお笑い芸人、地下アイドル、俳優、漫画家、小説家、ライターたちは存在する。お店を開店させても閑古鳥でお客さんがこない。暇を持て余している経営者だっている。


 私の住む近所は新しくお店ができても、しばらくして閉店し、また新しいお店ができるのを何度も見てきた。芸能人に限らず、個人事業主として生活するのは大変なのだと思う。


 ベトナム人女性のトゥイはホーチミンで時給90円の仕事をしている。かなり大変な毎日を送っているみたいである。そして、ついにトゥイから悲鳴にも近いLINEメールが私の元に届いた。


 実は幾度となく、トゥイは私に「仕事疲れた、やばい、もうダメだ」みたいな発言をしていた。それでも食べていくためにトゥイは頭がいたい時や体調が悪い時でも仕事を休まず働いていたのである。


 時給90円と言えば、1日8時間働いたとしても720円にしかならない。

※トゥイの場合、8時間以上勤務が普通のため、1日720円以上はもらっている。


 長時間労働のため、私と連絡する時間もなくなり、恋人同士の会話があまりできなくなってしまった。


 トゥイの父親は高校生の時に交通事故で亡くなり、一家の大黒柱を失ってしまった。妹は離婚し、妹の娘をトゥイの母親が実家で引き取り育てている状態である。トゥイは姪の将来のため、ホーチミンに上京し、働いて母親に仕送りしているようである。


 長時間労働で心も身体もボロボロになるよりも、自分のやりたいこと、楽しいことをやって収入になった方がいい、と私は思う。


 トゥイの悲痛なLINEメールを読んで、私はますます好きなことを収入に変えていく生き方を人生のテーマにしようと思った。


 日本でも言えることだが、人並みに生活し食べていくのは大変である。また、ブラック企業に就職した新入社員が、社会復帰できないぐらい身も心もボロボロになるケースだってある。最悪、命を絶ってしまう場合だってある。


 悲痛な言葉の連続はSOS信号でもある。私はその点を踏まえ、いろいろとトゥイの今後を考えなければいけないと思った。

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