第60話 国際恋愛で相手のしてくれたことを当たり前だと思ってはいけない

 ベトナム人女性のトゥイがホーチミンへ上京し、姉妹で共同生活を始めた。トゥイは2つ仕事を掛け持ちしているのもあり「今日はとても疲れたよ」と言ってくる。


 それでも毎日、日本人男性の私との連絡をかかさない。日本とベトナムは2時間の時差がある。トゥイは夜遅くまで営業しているレストランで働いているので帰りが遅い。


 日本時間の深夜過ぎに帰ってくる。以前ならばとっくに私は寝ている時間なのだけれど、今度は私がトゥイのために生活リズムを変えることにした。トゥイの仕事が終わって帰宅するまで私は起きている。


 その後、私とトゥイはSkypeのテレビ電話をすることにしている。私が朝早くから出かける時があった際、トゥイは「あなたが歩いている時に電話で話したい」と言って、ベトナム時間の朝5時に起きて私と話す行動をとった。


 トゥイが眠いのに起きてくれたこと。些細なことかもしれないが、今度は自分がトゥイのために寝る時間を変更し、遅くまで起きることにしたのだ。


 トゥイは「寝ないで起きてくれるなんて嬉しい」と言ってくれるのだけれど、私が早朝に出かける時、健気に早起きしていたトゥイのことを知っていたので、今度は自分の番だなと思っている。


 国際恋愛に限らず、相手のしてくれたこと。やってもらったこと、それを当たり前だと思ってはいけない。トゥイ姉妹の部屋には洗濯機がないらしく、仕事が休みの時、手洗いで服を洗濯していると語っていた。


 あれが欲しい、これが欲しいは誰でも言える。けれども買うのをがまんし、耐えることはなかなかできない。トゥイはいろいろと買うとお金がかかるし、がまんすればいいだけだからと質素な生活を姉妹でしているのである。


 私にしても質素な生活をしている。1日お金を使わない日だってある。贅沢は敵ではないけれど、それなりの生活でいいのかなと考えている。


 しかし、将来、トゥイといっしょに生活することを考えた場合、最低限度の生活はしたい。できることならば苦労はさせたくない。


 たまには贅沢に美味しいものを食べたい。どこかへ連れていきたい。そんな細やかな希望を抱いている。先日、私はトゥイの誕生日だったのもあり、細やかながらこれで何かを買って欲しいとトゥイにSBIレミットを利用して海外送金した。


 無事にお金を受け取ることができたトゥイは姉妹で「美味しいものを食べる」みたいなことを言っていたので、私はてっきり高級なお店で美味しいものを食べるのかと思っていた。


 トゥイから「この食べ物を買ったよ」と写真がLINEに届いた。写真を見た私はびっくりした。


 写真を見る限り、とても贅沢な食べ物に見えなかったからだ。しかし、見方によっては卵が4つも入っているから贅沢なのかもしれない。


 いつかベトナムのホーチミンでトゥイを美味しいお店に連れていきたいと私は思った。

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