記憶のかけら

大路まりさ

第1話 音楽大学の就活

こんにちは。はじめまして。

私は、たかはしといいます。


私は今、社会人3年目。もうすぐ4年目に突入します。

仕事は音楽療法士兼介護士。

何だか長い名前だし、よく分からない職業ですね。


さて、今はこうして仕事をしていますけれども、私は音楽大学を卒業し、今に至ります。

「音大!?すごいね」とはよく言われますけど、別に何もすごいことはありません。

私は演奏家になれなかった落ちこぼれなのだから。


音楽療法士の話はおいおいするとして、「介護士」ならば皆さんご存知かと思います。

「ヘルパーさん」なんて呼ばれて、お家に来ている人もいるかもしれませんね。

私は介護士として、有料老人ホームに勤務しています。


なんで音大卒の人がこんな仕事についたのか、気になりません?

私だったら気になります。

「プロになればいいのに。」「先生(音楽)になればいいのに」とかね。


まずは私の就活の話を聞いていきませんか?

何故介護をやることになったのか。何故音楽療法士になったのか、お話していきます。



***



大学3年生になると、大学のキャリアセンターから面談のお知らせがきます。


「学校を卒業したらどうするのか」


私は当時、教員免許の取得を希望していて、ゆくゆくは教員になることを希望していました。

もちろん、一般就職を希望している人もいましたけど、大体の私の友達は「まだ考えてないや」って感じでしたね。

もちろん私も「まだ先の話」「私には関係ない」って感じで、キャリアセンターにはほとんど通わなかったんです。


しかし、ある時急に不安になりました。

バイト先の一般の大学の人たちが、インターンシップに行き始めていたからです。

私の通っていた音大では、インターンシップに行く人はほぼいません。

よっぽど最初から就活に熱心な学生くらいです。もちろん私もインターンなんて考えてもいませんでした。


こりゃやばいぞ、と私は企業を調べ始めるものの、自分が考えていた職種はなかなか募集もなく、ただ時が過ぎて、気がつけば3年生の終わりになっていました。


さらにやばい、と思い始めた時は、就活の解禁と教育実習が被っていたことです。

就活は、全企業が一斉に面接を解禁して内定をだすんです。

私は「うわ、終わった・・・・」と思いました。


なぜなら私の母からは「音大行くなら教員になりなさい」「働くなら正社員になりなさい」と、口をすっぱくして言われていたからです。

今の私ならその言葉も納得できますが、当時の私は「このくそばばあ」と思っていました。お母さんごめんなさい。


キャリアセンターに3年生の後半にやっと通いだし、そして履歴書の書き方を教わって逃げました。

・・・・キャリアセンターの職員さん、めちゃめちゃ怖かったんです。世間知らずのぬくぬくした音大生には厳しくもなりますよね。


さて、そんな時でした。

携帯電話に一本の電話が。


「たかはしさん、教職とってますよね?学童でインターンあるので説明会のお知らせがあるんだけど」


私の就活、やっと始まったか。

そうして学童でインターンに行き、学童のインターンに参加したおかげで、別の会社のインターンのお知らせもキャリアセンターがくれました。


そこで出会ったのが「音楽療法士」だったんです。


私はそこで高齢者の通所施設(デイサービス)で1週間のインターンシップを行うことになりました。


私はアルバイトで接客をやっていたので、人とお話をしたり、人前で何かをすることが大好きでした。

デイサービスでのインターンは、ひたすら利用者様とお話して、それからお茶を入れたりしてました。

おトイレの介助などは、当時介護の資格のない私には出来ません。歩行の介助もできません。

なので楽チンでした。

こんなに楽な仕事があるものかと。


そして決めました。「この会社にしよう!!」と。

インターンが終わってキャリアセンターでその話をしたあと、まず最初にきかれたことはこれでした。


「たかはしさんピアノ弾ける?」


なんとこの会社、音楽療法士はピアノと弾き歌いの試験があるとのこと。

でも私の中では決まってました。


「音楽療法士じゃなくても、介護士としても受けたいんです。」


実は私の母と兄は介護職なんです。

なので、介護士になることに抵抗はありませんでした。

そっからはトントン拍子。

キャリアセンターの職員さんが会社の人事部へ電話をし、音楽療法士と介護士の話をして下さり、更にはピアノの試験の話まで聞いてくれて、私は会社説明会に参加することになりました。


試験曲の譜面を貰って、入社試験までにピアノを猛練習。


入社試験では社長と音楽療法士の主任と人事部の人と面接がありました。

インターンで人事部の人や音楽療法士の主任とは面識があったため、和気あいあいと面接。ほぼ雑談だったように感じます。

何話したかをほぼ覚えていませんが、確かにアルバイトの話と、しつこくきかれたことは「通える範囲内に引っ越せるかどうか」ということを聞かれました。

私はさっさと家から出たかったので、「今すぐには無理ですが、家はでるつもりです」と言った記憶があります。


そうしてドキドキの入社試験を終えて、私の就活は終わりを迎えるわけです。

無事に合格をいただき、はれて、このデイサービスでの仕事を(すると思って)入社することになりました。








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