04

おしゃべりもそこそこに、ポツリポツリとゲストがやってきたため気を引き締めて受付に立つ。


「本日はおめでとうございます。」


「本日はご出席いただきありがとうございます。こちらにご記帳をお願い致します。」


あらかじめ頭の中で練習しておいた挨拶を交わし、席次表を手渡す。

万事順調だ。

そう思ったとき、未菜ちゃんが「やばい」と呟いた。


「どうしたの?」


「なんか、席次表が足りない気がする。」


出席者の人数と残りの席次表を数え直すと、確かに数が合わない。


「もしかして一人一枚じゃない、とか?」


私が思いついたことを口にすると、光司くんが私たちを覗き込んできた。


「一家族に一枚だよ。だから、夫婦で来てる人には一枚だけ渡すんだ。」


「どうしよう、一人一枚ずつ渡しちゃった。」


たぶんさっき立て続けに年配のご夫婦が受付をされたので、その時じゃないかと思う。

私たちが顔を見合わせておろおろしていると、瞬くんがおもむろに受付ブースを飛び出して行った。

そしてすぐに席次表を三枚手にして戻ってくる。


「取り返してきたよ。」


何事もなかったかのようにその席次表を束の中に戻す。これで数がぴったり合うハズだ。


「瞬、ナイス!」


光司くんが労う。

それを見て、私たちも慌ててお礼を言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る