33


鏡を見た瞬間、コイツは誰だ?

と思う程に完璧に作り上げられた私は

今、皆様の目の前にいます。


骨格がイカれる程のコルセットは、存在しなかったがそれでも中々に苦しい。


何より、余りにも原型を留めていない…

早く爆発して散り散りになりたい……




「まぁまぁ、とても可愛らしいわぁ!」


身体中を真っ赤にした私にファミーユ様が駆け寄ってきた


「ごめんなさいね、うちではあの格好でも大丈夫なのだけれど…王城へ行くには戦闘服で無いと何かと噂が立ってしまうのよ…」


と、悲しげに俯いてしまった


「い、いいんです!私もあれでは駄目な事は分かっていました。

こんな素敵なドレスを用意して頂いて…本当にありがとうございます」



ファミーユ様を悲しませたくは無いので、お礼を言う

実際ドレスを着ている事は、とてもときめくのだ。

生地がとても肌触りが良く、滑らかで所々に縫い付けられた小さな輝く石は多分本物

おいくらするんだろう…と物怖じしているだけで。


にしてもドレスは戦闘服という事なので、本当に良かったと思っている。

ゲイルの体面を悪くしたい訳では無いのだから。



「そう…マリーちゃんはいい子ね。

ほら、貴方達も何か言いなさいなっ」


ニコリと花が綻ぶように微笑まれて、促され更に前に出されてしまった


「マリー嬢、良く似合っている」


「マリーさんとてもお似合いですよ」


「馬子にも衣装ね」



「紹介するわね。

真面目そうにしているのが長男のエルフィング、物腰柔らかそうなのが次男のマグオット、そして知っていると思うけど長女のカレンよ」


「皆様改めまして、宜しくお願いします

あれ?そういえばゲ…ゲイル様はどちらへ?」


「うふふ、もうすぐ来ると思うわ」


ゲイルがここにはいない事に気が付き首を傾げるとファミーユ様が応えてくれる。


直ぐにノックが有り、ファミーユ様が入室を認めると

そこには少し驚いた顔をしている、黒の軍服を着たゲイルが居た


「マリー…」



ジーザス。


眼福を通り越して来ました。

なんて言えば良いのか分かりません。


存在を認めて良いものですかね?

眩過ぎて目が開かないんですけど?

尊死出来る、今なら。



「その…マリー、とても似合っている」


「ゲ、げげ、っゲイルも物凄く似合ってるよ!」


盛大に上擦ったが何とか言い切った。

私とは違い、ゲイルは素のままで服を着てコレだ。

同じ人種とは思えない。

膝から崩れ落ち無かった私を褒めて欲しい。

それはもう、踏ん張って耐えている。


これが、軍服萌えなんですね…

初体験ありがとうございます…



「くふふふふっ、2人共そんなに見つめ合って…

とりあえず、お座りなさいな」



「…師匠。どういう事か説明してくれるんでしょうね?」


「えぇ、そのつもりよ」


ゲイルが物凄い顔をしているが

私は、とりあえず座りたくて指定された椅子に座る。



「マリーちゃん。早速だけど…

うちの子にならない?」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る