9 ※ゲイルside
いつもの時間に起き、朝食を作り始める。
今日はマリーの分もだ。
そういえば、マリーに好き嫌いを聞いていなかった気がする。
まぁ、嫌なら残してくれたら良いか。
料理は嫌いじゃない。
この暮らしで随分と作れる物は増えたし、凝りだしたらキリがない性分なので食材の変化が実験のようで楽しかった。
アレンは食物を食べられない事は無い。
が、食べる必要は無い為長い付き合いだが何かを食べている姿は見た事が無い。
なので誰かに作った事も無ければ、料理の感想を聞いた事も勿論無い。
そう思うと少し緊張するな…
不味くは無い…と思うが
ギギッと階段が軋む音がすると、マリーがやって来た。
今日はどうやら起きあがる事が出来る位には回復したらしい。
椅子に座るよう勧めて、テーブルに出来上がった物を並べていく。
それを、マリーはキラキラした目で見つめていた。
料理が出来る事に驚かれたが
恥ずかしかったので軽く流して、まだ使っていた敬語を辞めるよう言うと
「じゃあ敬語もやめるね
凄い綺麗!こんなに素敵な朝ご飯初めて食べる!いっただきまーす!」
「んーーー美味しい~幸せ♡」
素直なマリーは直ぐに敬語を止めて一口頬張ると、とても幸せそうに頬に手を当てていた。
成程、こちらが素のようだ。
畏まられるより素の方が良い。
そして、素直に褒められたのが嬉しかった。
そう思った事が口から出てしまったのだが、マリーがとても恥ずかしそうにしていたので話題を変えてやった。
マリーは働きたいらしい
仕事の話しをするマリーはとても楽しそうだった。
仕事を放棄した俺とは大違いだ。
俺は元々そんなに口数が多い方ではない。
昨日、今日で何年分喋っただろうか?
元々精霊に好まれやすいこの体質のせいで人付き合いやらが面倒になってしまい
この森の生活を選んだ身だが、マリーは今の所負担でも不快でも無い。
裏表が全くと言って無いのだ、心配になる程に。
誰かと話す事がこんなにも心地好いものだったとは新しい発見だった。
マリーは辛すぎる物が苦手らしいので、辛いものを作るのは極力控えよう。
また、あの笑顔が見られるなら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます