第二十五話 ノアとアリアの素直な感情

――満開の島 ロシリア・シェリンズの街


◇ノア

買い物は大体これで済んだか


◇アリア

そうですね


◇ノア

…………

……なあ、アリア


◇アリア

はい?


◇ノア

その……

……本当にあの時は

すまなかった


◇アリア

なんのことです?


◇ノア

いや、だから……

そのぉ……


この島に着く前……


船の上でキミに

つまらないことを

言ってしまった……


◇アリア

…………


ああっ!

なんだ、あのことですか!


私は、気にしてませんよ?

ふふっ


◇ノア

……な、なら、いいんだが


◇アリア

ノアさんこそ、

気にし屋さんなんですね


◇ノア

それはっ……


だって気になるだろう……


僕は、あまり愛想も

良くないし……

確かにひねくれ者だ……


つい言葉が

キツくなってしまうことも

多い……


不器用だし……

兄さんみたいに、優しくない……


もし、キミを

傷つけてしまっていたらと

思ったら……その……


◇アリア

ふふっ

大丈夫ですよ


私は

あなたがとても優しい人だと

知っています


◇ノア

僕が……優しい……?


◇アリア

ええ

だって、カイさんのことを

とても大事にしています


いいえ、

カイさんだけじゃありません


クロナさんのことも、

そして、私のことも

大切にしてくれています


あなたの言葉は、

たとえ厳しいものだったとしても

それは――


仲間を守るために出た言葉です


◇ノア

…………


◇アリア

それに……


優しくない人が、

ジュエリさんの魔法から

小さい子を守ったりしません


あなたはとても優しい人です


◇ノア

んっ……

かいかぶり……

過ぎだ


◇アリア

ふふふっ

それにとっても照れ屋さん


◇ノア

くっ……

う、うるさいっ……


◇アリア

……私の方こそ、

ごめんなさい


◇ノア

なにを謝ることがある……?


◇アリア

実は私、

ノアさんとお話する時……

少しだけ緊張するんです


◇ノア

えっ……?


◇アリア

どうしてかはわかりません

でも、それは──


決してあなたが

ぶっきら棒だからとか、


言葉がキツいからとか

じゃないんです


◇ノア

…………


◇アリア

……もしかしたら、

私たちは、


遠慮しあっていただけなのかも

しれませんね


ふふふっ


◇ノア

……ふっ

そうかもしれない、な……


ふふっ……はははっ


◇アリア

あっ


◇ノア

ん? どうした


◇アリア

ノアさんって、

笑うと可愛らしいんですね?


◇ノア

なっ……!?

は、恥ずかしいことを

言わないでくれっ……!


◇アリア

ふふふふふっ


◇ノア

……からかうな……


──でも、不思議だ


◇アリア

なにがです?


◇ノア

キミと話していると

自分の感情に素直になってしまう


僕だけじゃない

マキナだってそうだ


◇アリア

マキナも?


◇ノア

ああ……


キミはまるでマキナとも

感情を交わすことが

できるみたいだ


あの遺跡のマキナだって、

キミの言葉に応えた……


◇アリア

あの時は、

とにかく無我夢中で……


やっぱり

よく覚えていないんです

でも──


私にはマキナが、苦しみ、

悲しんでいるように思えました……


◇ノア

マキナが……悲しむ?


◇アリア

はい……

自分の使命が果たせなくて……

泣いているように見えたんです


だから、祈りました

遺跡のために……


◇ノア

(アリアの力の謎――

 この旅の中で

 わかるのだろうか)


(彼女の記憶を

 取り戻せれば――)



To Be Continued……

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