第二章 満開の島 ロシリア -桜の島の乙女たち-

第十一話 リコと幼なじみたち

――満開の島 ロシリア・シェリンズの街

◇リコ

――カイさんたちは

リジェさんと

そんな約束をしたんですね

◇カイ

ああ

だから、俺たちもリジェが

困ってるならなんとかして力に

なれないかと思ってる

◇リコ

おおっ！

なんという優しい心の持ち主！

ユキノちゃんを

助けてくれたばかりでなく

リジェさんまで……！

ありがとうございます！

友人として、感謝ですよ～！

それにしてもパメラちゃん……

ユキノちゃんに

決闘を挑むなんて――

いつから、

そんな子になっちゃったのか……

昔は、おとなしくて

いい子だったのに……

◇ユキノ

そうかなぁ……？

って言うか――

パメラがああなったのは、

リコにも原因が

あると思うんだけど……

◇クロナ

どういうこと？

◇ユキノ

リコってば、

昔っからパメラのことからかって

泣かしてたんだよ

◇リコ

そんな！

私はからかってなんか

いませんよ！

確かにパメちゃんは、

泣き虫さんで、よく泣いていた

ような気がしますけど……

それは――

きれいな模様のかわいい

ヘビの赤ちゃんがいたから、

パメちゃんに見せてあげようと！

◇ユキノ

川で溺れさせたり……

◇リコ

パメちゃんが「泳げない」って

言うから練習させてあげようと

思ったんです！

◇ノア

なるほど……リコは、

天然で迷惑な

子供だったんだな……

◇アリア

でも、今のお話を聞くと

根はとてもいい人だと

思いますけど……

◇ノア

いや、それはわかってる

……だんだんパメラが

他人に思えなくなってきた

◇アリア

え？

◇ノア

俺も同じような目に

あっていたからな……

◇カイ

ん？

◇クロナ

どうしたのノア？

◇カイ

俺たちの顔になんかついてるか？

◇ノア

いや……

なんでもない……

◇アリア

あははっ……

◇ユキノ

あっ！

みんな、ごめん！

あたし、そろそろ行かないと

道場の時間だわ

◇リコ

そうでしたか～

残念ですけど、じゃあまた！

◇カイ

ああ

ユキノ、ありがとう

◇リコ

はいは～い！

じゃあ、また～！

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――満開の島 ロシリア・ロシリア邸への道

◇クロナ

ねえ、リコ？

ユキノ『道場』って

言ってたけど……

◇リコ

あれ？　聞いてないですか？

彼女は代々『ロシリア槍術』を

伝承している由緒正しい

武術家の家系なんですよ～

◇カイ

えっ！？

それであんなに槍さばきが

見事だったのか……

◇リコ

ユキノちゃんは

昔っから修行熱心でした～

長女として、道場を継ぐために

頑張ってるんですよ～

リジェさんは『精霊術』

パメちゃんは『結界術』

ユキノちゃんは『槍術』――

古い家柄に生まれると、

いろいろ大変ですよね～

◇ノア

本当にこの島は

『由緒正しい名家』が

多いんだな……

◇アリア

ユキノさんの家に『アーク』の

伝承があったりする可能性は……

◇ノア

うーん……

無いとは言い切れない

あとで聞いてみる必要があるな

◇カイ

そういえばリコ

ユキノが

「ムシには気をつけろ」って

言っていたけど

そんな危険なムシが現れるのか？

この森は

◇クロナ

猛毒のムシとか！？

◇リコ

そうですね……

毒よりも

恐ろしいかもしれません……

子供の頃、

リジェさんの家に遊びに行く途中

たまに『ムシ』が発生しましてね

一目散に逃げたものですよ～

◇アリア

そんなに怖いムシなんですか？

◇リコ

それはもう！

そうですね……

え～っと――

◇ムシワーグ

ブブブブブ……！！！！

◇リコ

そうそう！

ちょうどこのくらいの大きさの、

とんでもなくお～～～～っきな

ムシで――

◇カイ

えっ……！？

リコ！？

◇クロナ

その目の前にいるのが

危険なムシじゃないのか！？

◇リコ

はい？

◇ムシワーグ

ギチギチギチ……！！！！

◇リコ

…………

むっ、ムシですーーーー！！！！

To Be Continued……